一般的にキャリアが始まったばかりで年収が低いといわれる20代ですが、年収600万円を稼ぐ人はどのくらい存在し、どうすれば達成できるのでしょうか。今回は、国の調査などをもとに、年収600万円以上稼ぐ人の割合や業種、具体的な生活水準などをご紹介します。
20代で年収600万円稼ぐ人は一握り
国税庁が2019年9月に発表した「民間給与実態統計調査」によると、20代前半の平均給与は男性284万円、女性で249万円となっています。20代後半では男性が404万円、女性が326万円でした。
また、給与所得者のうち600万円以上稼ぐ人は全体の2割程度という結果になりました。このように、年収600万円以上の人自体も多くない現状では、20代の若いうちに600万円以上稼ぐ人は一握りしか存在しないといえるでしょう。
20代で年収600万円を稼げる業種は?
20代で600万円を稼げる業種は非常に限られています。しかし、以下のような業種は比較的達成できる可能性が高いといえます。
証券会社
証券会社の中には、誰もが社名を聞いたことのある有名な企業がいくつも存在します。大手の証券会社であれば、20代でも高額な年収を稼ぐことが可能です。
ただし年収が高い背景には過酷なノルマや仕事の責任の重さといった労働環境があるかもしれない、ということを忘れてはいけません。
医薬品メーカー
大手の医薬品メーカーも若いうちから高い年収を狙うことができます。その中でも高年収が狙えるのはMR(医療情報提供者)と呼ばれる製薬会社の営業です。
ただし、医薬品の情報を正確に医療従事者へ伝える重責があることや、多忙な医者と長期的な信頼関係を構築する必要があるなど、決して楽な仕事ではないでしょう。
営業手当や業績に応じて得られるインセンティブなどが存在することもあるため、実力次第では600万円台以上の収入も狙える可能性があります。成果を出せばそれだけインセンティブが貰えるという仕組みはほかの業種の営業職も同じです。
保険会社
生命保険は「家の次に高い買い物」といわれることもあるように、売上の高さから社員に還元される額も高めになっています。
生命保険は他業界に比べて年収が高く、成果に応じて給与が大きく変わる「業績給」の仕組みを導入している会社が多く存在します。
ほかの業種に比べて給与の安定感は少ないかもしれませんが、逆に成果を出せば若いうちから大きな収入を狙うことが可能です。良くも悪くも実力がものをいう業界といえるでしょう。
不動産会社
不動産の売買を行う大手企業の営業職は、高い年収を得られることで有名です。生命保険会社などと同様、不動産会社でも業績給を導入している会社が多く、そのような会社で成果を出す営業職になれば高い年収が期待できます。
ただし業績を出さなければ当然給与は上がりにくいため、良くも悪くも能力が直接的に給与に反映されるということを覚悟しておきましょう。
年収600万円を稼ぐ人の生活実態
では、年収600万円を稼ぐ人の生活はどのようなものなのでしょうか。まずは、東京都内の民間企業に勤める独身のAさんを例に、生活費の内訳について考えてみましょう。
個人により差は生じますが、年収600万円の場合の手取りは450万円程度です。これは、年収から税金や保険料を引いた額となります。
なお、この手取り額はボーナスも含めた額です。したがって年に2回のボーナスと仮定した場合、手取り月収は約30万円程度といったところでしょう。
独身の場合は余裕がある
Aさんの場合、毎月の生活費は以下のような内訳と仮定します。
- 家賃・光熱費:12万円
- 食費:5万円
- 通信費:1万円
- 交際費:3万円
- 保険:1万円
- フィットネスジムの月会費:1万円
貯蓄:7万円 単身者で年収が600万円だと貯蓄は毎月7万円可能となり、余裕をもって生活できることがわかりますね。
家族がいると状況はかわってくる
しかし同じ年収600万円でも、既婚者で子どもがいる場合、月々にかかる生活費は単身者と大きく異なってきます。
総務省が調査した「家計調査報告(家計収支編)」によると、年収600万円台が含まれる世帯層の食費は7万円を少し超える程度。単身者よりも大きな費用がかかります。
家族が多い分だけ交通費や娯楽にかかる費用もかさみ、子どもがいれば育児や教育にかかる費用も必要になります。そのため年収600万円であっても、単身者ほど余裕のある生活はできないでしょう。
このように一口に年収600万円といっても、ライフスタイルや家族構成によって生活水準が大きく異なることに注意が必要です。