5.年収300万円の生活からわかること

ここまでは単身者を例にモデルケースをあげてきました。これを参考に年収300万円の生活からどのようなことが見えてくるのか、次は少し視点を変えて説明していきます。

5-1.年100万円の貯金も夢ではない

例えば、1年の貯金目標を100万円に設定する場合、毎月の貯金額は約8万4000円です。先に示したモデルケースの場合でも、毎月4万円の貯金は十分可能でした。そこから、さらに4万4000円の貯金額をプラスするには大きく節約をしなければなりません。そこで、注目したいのが、最も支出の大きい家賃です。例えば、年収200万円の水準に合わせて家賃を4万円に落とせば、ここで2万円が浮く計算になります。ここまで落としてしまうと、都心の場合はかなり狭いうえに築浅物件や立地の利便性などは見込めないでしょう。しかし、地方であれば8畳ほどの広さの部屋を探すことは可能です。

モデルケースでは、自宅に光回線を引くことを想定していますが、スマートフォンだけでも実際は十分といえます。さらに、格安SIMを使えば通信費全体で2000円程度に抑えることが可能でしょう。ここで、約8000円〜1万円程度の節約になります。食費は、自炊を優先するのはもちろんですが、食材を抑えることで1食当たり100円のレシピも不可能ではありません。勤務先にお弁当を持参するようにすれば、さらに節約になり3食の自炊なら1日当たり500円で賄うこともできます。すると、1カ月の食費は1万6000円あれば十分です。ここで、さらに1万3000円程度節約できることになります。

このようにできる範囲で考えていけば、全体で4万1000円〜4万3000円を節約することは十分可能です。これらをすべて貯金に回せば、毎月8万円以上の貯金も夢ではありません。しかし、あまりにも切り詰めてしまう生活は精神面でストレスになってしまう可能性があります。また、自炊も場合によっては時間がかかり、他のことに影響が出ることも否めません。自分の生活サイクルや状況を考え、実現可能な場合は挑戦してみるといいでしょう。

5-2.夫婦2人の場合でも生活は可能

では、夫婦2人世帯の場合はどうでしょうか。結論からいえば、大人2人であっても年収300万円で貯金をすることは可能です。ただし、人数が増える分、食費などどうしても抑えにくい部分はあります。この場合は、レジャー費や理美容費、被服費などを抑えるようにしましょう。他にも、スマートフォンを格安SIMなどに変えることで節約は可能です。このように、費用を浮かせていけば夫婦2人世帯でも毎月4万円程度の貯金はできるでしょう。

5-3.子どもを育てる場合は少し厳しい

夫婦2人に子ども1人を持った場合で考えると、貯金をしていくのは難しくなります。人数が増えることで変動するのは食費と日用品です。また、子どもがいると教育費を考えなければなりません。平均的な費用で見ていくと、高校の3年間で子ども1人にかかる費用は、公立の場合で約115万円、私立ならさらに高い290万円ほどが必要です。さらに、大学に進学する場合、4年間にかかる費用は公立でも約240万円、私立の場合は文系または理系かで実際の費用は違いますが、低い場合でも390万円ほど、高い場合には520万円程度は見ておかなければなりません。

これらの教育にかかる費用を捻出するには、子どもが高校受験を迎えるまでの15年の間に貯めることが必須です。毎月2万円程度の貯金をすれば約360万円、毎月3万円なら540万円程度は貯金できる計算になります。ここまでの貯金ができていれば、公立高校はもちろん、私立高校の場合でも入学は可能です。ただし、子どもの人数が増えれば、それだけ支出も貯金額も必要になります。

5-4.住宅ローンは負担が大きい

家庭を持った場合の大きな支出としてあげられるのが住宅ローンです。住宅ローンの目安は、年収に対して5〜6倍ほどが適切といわれています。年収300万円の場合でいえば、理論上は1500〜1800万円の住宅ローンが可能だということです。ただし、住宅ローンを組む際は、返済期間が完了するまで無理なく返済できる額で設定しなければなりません。最も好ましいのは、できる限り頭金を払っておくことです。しかし、子どもが産まれた場合には、教育費も貯めながら頭金まで用意していくのはなかなか難しいでしょう。

6.年収300万円で貯金を作るためのポイント

年収300万円であっても、貯金することは十分可能です。しかし、貯金を継続していくことを考えると押さえておきたいポイントがいくつか出てきます。ここでは、具体的なポイントについて説明していきます。

6-1.家計簿をつける

これまでに紹介したモデルケースを実行するには、まず自分の収支状況を可視化する必要があります。お金の流れを把握できるようにし、無駄な部分を洗い出していくには家計簿をつけるようにしましょう。実際にいくらのお金が何に使われているのかを記録するのです。年収300万円でお金が手元に残っていない場合、どこかで浪費している可能性が高いです。疑問を感じたら、これをきっかけにして収支を見直し生活を改めてみましょう。

家計簿は、アプリを利用すれば簡単に入力できるものがいろいろ出ています。また、クレジットカードや銀行、電子マネーに対応したものであれば、簡単な入力で管理することも可能です。他にも、収支をグラフ化してわかりやすくしてくれるアプリもあるので、自分に合ったものを探してみましょう。もちろん、実際に貯金を始めてからも終始を把握することは重要です。常に家計をチェックし、無駄な部分はないか考えていくことで貯金を増やすことはできます。

6-2.自動的に貯金する仕組みを作る

自分ではなかなか貯金をするのが難しい場合は、強制的に蓄える仕組みを作れば問題解決につながります。最も好ましいのは、残ったから貯金するのではなく、先に貯金してしまうことです。お金が入った時点で、先取り貯金をする仕組みを作ってしまいましょう。例えば、会社員の場合なら給料が振り込まれた時点で自動的に引き落としになる財形貯蓄などを利用するのも一つの手段です。引き出しする前に引き落とされているので、うっかり使ってしまうこともありません。

また、少しでも増やすことを期待するなら、株式や投資信託という方法もあります。少ない額からできる商品もあるため、さまざまな商品で資産運用が検討可能です。ただし、元本が保証されている預金とは異なり、投資は元本割れになる可能性もある点はしっかりと把握しておきましょう。利率が高いもので考えるなら、積立定期貯金もお金を貯めやすい方法です。ただし、定期貯金のなかでも仕組預金などの場合は途中解約で元本割れを引き起こす商品もあります。そのため、契約する際は目先の金利に惑わされず、一般的な定期預金なのか、特殊な定期預金なのかについて確認しておくことが重要です。そのため、契約する際は短期のものにするか、満期までは絶対使わない前提で考えていくと失敗を避けられます。

6-3.貯金の目標額を設定する

前述したように、年収300万円で年間100万円の貯金をすることは無理なことではありません。先に不可能と考えてしまうより、貯金の目標額を決めてモチベーションを上げていきましょう。そのほうが継続しやすいといえます。1年で考えると、なかなか難しいかもしれませんが、例えば20年で1000万円程度の貯金を目標にするという方法もあります。この場合は、毎月約4万2000円の貯金額で実現可能です。こうして考えると、年収300万円でも不可能とはいえません。もちろん、目的もあったほうがさらにモチベーションは上がります。子どもの教育費や住宅ローンの頭金、または繰り上げ返済などを目的にすれば、収入が限られていても上手に節約することが期待できるでしょう。

7.子どもやマイホームを持つためのポイント

年収300万円の世帯は、実際に子どもやマイホームを考えたときに難しい収入といえます。しかし、経済的な理由で諦めてしまうなら支援を上手に活用するのも一つの方法でしょう。もちろん、収入を上げていくことも重要です。そこで、子どもを持つことやマイホームの実現に向けて具体的なポイントを説明していきます。

7-1.出産の支援を活用する

子どもの出産を控えている場合、はじめに心配されるのは出産にかかる費用でしょう。出産に関する支援はいくつかあり、出産手当金や出産一時金などがあげられます。出産手当金とは、働いている女性が対象となるもので出産によって休暇を取った場合の給与補助として受け取ることが可能です。共済組合や健康保険に申請を行うことで、給与の3分の2ほどの額が受け取れます。ただし、国民健康保険には出産手当の制度はないので、注意しましょう。

出産一時金とは、早産などが対象になる制度です。妊娠85日以上が対象で、通勤時や勤務中の災害による早産などが対象になります。この場合は、労災保険を受けた場合でも関係なく支給対象になるので、誤解のないようにしましょう。子ども1人に対して支給されるのは42万円ほどで、家族の扶養であっても問題なく受け取ることができます。出産一時金は、健康保険や共済組合だけでなく、国民健康保険に加入している人も対象です。

7-2.育児の支援を活用する

子どもを育てるうえで忘れてはいけないのが育児に関する支援です。育児で支給されるものでは、育児休業給付金や児童手当などがあげられます。育児休業給付金は、子どもが1歳の誕生日を迎えるまで育児休暇を取っていた場合が対象で、月給に対して約67%の額を受け取ることが可能です。育児休業給付金は、雇用保険加入者が対象の制度ですが、条件があります。11日以上勤務した月が2年間の間に12カ月なければ支給されません。しかし、父親も育児休業で受給できるため、共働き世帯の子育てに力強い制度といえます。

児童手当は、子どもがいる人すべてが対象で中学生卒業まで支給される手当です。支給額は、子どもの年齢に応じて異なります。3歳未満の場合は月約1万5000円、3歳以上で小学校終了前であれば月約1万円、中学生になると月約1万5000円です。また、第3子以上はさらに優遇され、3歳以上は小学校修了前までの支給額は1万5000円になります。支給されるのは4カ月ごとで2月、6月、10月です。

7-3.共働きを視野に入れる

年収300万円で貯金をする場合、節約や支援を利用することで貯金は可能です。しかし、子どもの教育費や住宅ローンを無理なく貯めていくには、世帯の収入アップを検討することも重要になってきます。貯金額をより一層増やしたい場合は、収入アップを目指すことが最も確実です。夫婦なら共働きをすることが貯金できる可能性も増えるでしょう。妻もフルタイムで働くなど夫婦で同じくらいの収入が見込めれば、貯金額は一気に増やせます。フルタイムが難しい場合は、どちらかの扶養範囲内で仕事を持つだけでも、貯金や住宅ローンの返済を楽にすることは十分可能といえるでしょう。

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