左遷されたと思われるような部署が、実は一番面白い

−−転職が当たり前になったからこそ、逆に1社で長く勤め続けることに不安を感じる人もいると思います。

浜田:それが当然じゃないですか? 逆に一般企業で定年まで勤め続けようとしている人は問題意識がなさすぎると思うな。常に会社を客観的に見て、会社がどうなってもちゃんと生き抜けるように、個人としてどうしていくべきかを考えないと。

「未来のワークライフバランスのために、20代はバットを振り切れ」逆算でキャリアを考えることの落とし穴
(画像=『Woman type』より引用)

松田:才能がある人ほど、どんどん外に出ていくものだしね。

−−浜田さんが28年間も朝日新聞社で働き続ける選択をしたのはなぜですか?

浜田:たしかに長くいたんですけど、そのうち17年は『AERA』編集部なんですよ。もし新聞の部門にいたらもっと早く辞めてたかもしれない。社内の保守本流のところで戦うって、すごく大変なんですよ。企業の中でどういう部署にいるかはすごく大きいと思う。

松田:保守本流はしんどいよね~。

「未来のワークライフバランスのために、20代はバットを振り切れ」逆算でキャリアを考えることの落とし穴
(画像=『Woman type』より引用)

浜田:これは女性によく言っているんですけど、保守本流に一人で乗り込んでものすごい苦労をするより、それ以外の部署で働く方が絶対面白いんです。だって、その方が裁量が大きいから。イノベーションの時代って言われても、保守本流な部署ほど簡単には変われないじゃないですか。そこでキャッシュを稼いでるわけだし。

だから実は、「左遷された?」って他の人から思われるような部署に行くのが一番面白かったりする。儲かってないところを立て直したり。それ以上落ちることもないし、試行錯誤するしかないから制約も少ない。仮に実績が上がったりすれば社内でめちゃくちゃ褒めてもらえるし、自分の実績にもつながります。逆に、儲かっている保守本流の部署の売上げを自分が下げたとなれば、めちゃくちゃバッシングされるだろうしプレッシャーもすごい(笑)

松田:以前、『レタスクラブ』の売上げ低迷期に編集長を任された時、本当は「これって左遷かな?」って思ったんです(笑)。でも、久しぶりに雑誌もトライしてみたかったし、立て直しがうまくいき始めるとすごく楽しくなってきて。業績が上がってきたら部内に活気が戻ってきて、働くモチベーションもあがる。

浜田:転職を考える前に、社内に異動できる部署がないのかは考えてみてもいいとは思いますね。皆があまり手を挙げないような所に行ってみるとか。実際、日本企業を立て直した最近の経営者って、一回左遷されている人が多いんですよ。本流から外に出て苦労した人の方が、物事がよく見えるんでしょうね。

「仕事を辞めない」と決めることは合理的

−−最後に、働く女性たちがこれからも好きな仕事を長く続けていくために、大切なことは何だと思いますか?

浜田:繰り返しになりますが、目の前の仕事をやり切ることですね。やり切ってできなかったのか、やり切ってないからできなかったのか、そこの差は大きいですよ。成功だろうが失敗だろうが、「やり切った!」って達成感を味わうことが仕事のプライドになる。

『働く女子と罪悪感』という本にも書いたんですけど、長く仕事を続けられる人と辞めてしまう人の差は能力じゃなく、20代で仕事を通じて達成感や高揚感みたいなものを得ているかどうかの違いだと思うんですよね。

それは必ずしも紀子さんみたいな100万部を超えるような大ヒットを出せってことではなくて、年に1回でも「やってよかった」って思える仕事があるかどうか。良い反響がたくさんあったとか、誰かに喜んでもらえたとか、数字を達成したとか、そういう経験を20代でいくつ積めるかだと思います。達成感って麻薬のようなもので、味わった瞬間に細かい悩みがふわっと消える。逆にそれがないと、モヤモヤしちゃうんじゃないかな?

「未来のワークライフバランスのために、20代はバットを振り切れ」逆算でキャリアを考えることの落とし穴
(画像=『Woman type』より引用)

松田:本当にその通りだと思う。20代はそうやって思い切り仕事をした方がいい。あともう一つ違う視点を入れるとしたら、単純なんだけど、「辞めない」と決めること。一生仕事を続けるって決めて、「仕事を辞めようと考える」ことを止める。そう決めてしまえばあとは簡単で、「どうやって仕事を続けるか」にしか脳みそがいかない。悩みの選択肢が減って合理的だし、話が早いと思うんですよね。

浜田:仕事を続けたくても育児や家事が大変だから辞めるっていうワーキングマザーは少なくないけど、「仕事を辞めない」って決めれば確かに合理的。そうすれば、「じゃあ仕事を続けるために家事をアウトソーシングしよう」とか「夫と家事の分担についてしっかり話し合おう」っていう発想になりますからね。

松田:「仕事を続けるためにどうするか」をベースにできれば、自分が望む方向には行けるわけだし、そんなに追い詰められないと思うんですよね。それに仕事そのものを辞めてしまうと、離婚した時に大変だし(笑)。人生なにがあるかわからないから、備えは大事。

浜田:「思いっきりバットを振れ」っていうのは別に精神論じゃなくて、一種のテクニックなんですよ。この先、思い切り働けない時期は誰にでも絶対にやってくるから、その時に自分の経験という貯金を切り崩しながら働かなきゃいけない。特に子どもができると本当に時間がなくなりますから、引き出しをたくさん作っておかないと。実力や人脈という意味での“貯金”は絶対にしておいた方がいい。

未来のワークライフバランスを勝ち得るために、20代はバットを振り切れ。これが私たちからのメッセージです。


提供・働く女のワーク&ライフマガジン『Woman type』(長く仕事を続けたい女性に役立つ、キャリア・働き方・生き方の知恵を発信中)

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