つみたてNISAは、積み立てによる長期投資を目的とした非課税制度です。つみたてNISAを始めるにあたっては、制度の特徴とメリット・デメリットを知っておくことが重要になります。また投資するファンド(投資信託の商品)を選ぶポイントもあわせて確認することが大切です。本記事ではつみたてNISAの概要と、初心者にも買いやすいファンドについて解説します。

1.積立投資の決定版、「つみたて(積立)NISA」とは?

2.つみたてNISAを使う人必読!投資戦略と買うべきファンドを徹底解説
〔画像引用元〕金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」
(画像=『ANA Financial Journal』より引用)

ここではつみたてNISAの概要と商品の特徴について説明します。

1-1.つみたてNISAの概要

つみたてNISAは、投資初心者でも利用しやすいよう、金融庁が投資商品を厳選した「少額投資非課税制度」です。買い付け額が年間40万円までの投資信託から生じる分配金や売却益が非課税となります。非課税期間は最長20年間で、現行制度では2037年開始分まで利用できます。

最後の2037年に購入した投資信託は2056年まで非課税で保有することが可能です。2021年から毎年利用すれば最長で36年間非課税で保有し続けられるという、かなり有利な制度であることがわかります。ただし、一般NISAとつみたてNISAを併用することはできません。

1-2.つみたてNISAで扱っている商品の特徴

つみたてNISAの商品は、投資の基本ともいえる「長期・積立・分散」による投資が実現できる、比較的低リスクなものが揃っています。金融庁の厳しい基準をクリアした商品が選別されているので、安定した運用成績が期待できます。信託契約期間も無期限かまたは20年以上と定められているので、運用の途中で償還(信託財産を清算し投資家に償還金を返還すること)になる心配はありません。

その分リターンは小さめなものが多いですが、非課税に加えて手数料が低く、自分で買うタイミングを考える必要もないため、投資を初めて行う人にとっては利用しやすい仕組みとなっています。

つみたてNISAは投資に限定されているので、定期預金や保険商品は対象外になります。また、現物株には投資できないので、次のような投資信託から運用商品を選択する必要があります。 積立投資、つみたてNISAのメリットについては、3章で詳しく説明します。

2.つみたて(積立)NISAの銘柄の選び方とおすすめ商品6選

ここでは投資初心者がつみたてNISAを購入する際の、方針ごとの銘柄の選び方と、おすすめの銘柄について紹介します。

つみたてNISAの選び方1:勝率が高い「インデックスファンド」を選ぶ

つみたてNISAの商品は金融庁が定めた条件をクリアした、長期・積立・分散投資に適したインデックスファンドが中心となっています。

インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数に連動して値動きする投資信託です。日経平均株価やTOPIXなど、ベンチマークになる指数が10%上昇するとインデックス型投資信託の基準価額も10%上昇します。ニュースで毎日速報される株価指数を見れば投資信託の値動きがわかるため、運用しやすい商品といえます。

3.つみたてNISAを使う人必読!投資戦略と買うべきファンドを徹底解説
(画像は2021年1月8日時点のもの。SBI証券より)
(画像=『ANA Financial Journal』より引用)

日経平均株価と連動する投資成果を目指す商品です。信託報酬0.407%。設定来のトータルリターンは237.11%(数字は2020年12月31日現在)。

(表1)三井住友TAM-SMT 日経225インデックス・オープン

項目 詳細
設定日 2010年7月30日
購入時手数料
(税込み)
申込金額に応じ、購入時の基準価額に対して
最大2.2%の率を乗じて得た額
信託報酬
(税込み)
0.407%
決算 年2回
(5月、11月の10日)
設定来分配金累計 40円

つみたてNISAの選び方2:これ1本でOK!「バランス型」を選ぶ

バランス型とは、株式、債券、REIT(不動産投資信託)など国内外のさまざまな金融商品に分散投資する投資信託です。投資対象資産や、投資地域で分散投資を行います。安定志向の人に向いた投資信託といえるでしょう。なお、バランス型をインデックス型に含めている証券会社もあります。

【商品例(2)】三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

4.つみたてNISAを使う人必読!投資戦略と買うべきファンドを徹底解説
(スクリーンショットは2021年1月8日時点のもの。SBI証券より)
(画像=『ANA Financial Journal』より引用)

複数のマザーファンドへの投資を通じ、各投資対象資産の指数を均等比率で組み合わせた指数に連動した投資成果をめざして、運用を行います。投資先は日本を含む世界各国の株式、公社債、不動産投資信託です。信託報酬0.154%以内。設定来のトータルリターンは18.15%(数字は2020年12月31日現在)。

(表2)三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

項目 詳細
設定日 2017/05/09
購入時手数料
(税込み)
0円
信託報酬
(税込み)
0.154%以内
決算 年1回(4月25日)

【商品例(3)】野村-のむラップ・ファンド(積極型)

5.つみたてNISAを使う人必読!投資戦略と買うべきファンドを徹底解説
(スクリーンショットは2021年1月8日時点のもの。SBI証券より)
(画像=『ANA Financial Journal』より引用)

国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、世界各国のREITに分散投資する商品です。信託報酬1.518%。設定来のトータルリターンは133.49%(2020年12月31日現在)。

(表3)野村-のむラップ・ファンド(積極型)

項目 詳細
設定日 2010/03/15
購入時手数料
(税込み)
金融機関が定めた
売買委託手数料によって異なる
信託報酬
(税込み)
1.518%
決算 年11回(2月18日)

つみたてNISAの選び方3:大きな運用益を目指す「アクティブ型(アクティブファンド)」を選ぶ

アクティブ型とは、積極的な運用で日経平均株価やTOPIXなどのベンチマークになる指数を上回るパフォーマンスを目指す投資信託です。

アクティブ型はファンドマネージャーの力量によって成績に差が出ます。そのため、手数料が高くなる傾向があります。成績のよい投資信託を買うことができればインデックス型を上回る運用益をあげることも可能です。

【商品例(4)】レオス-ひふみプラス

6.つみたてNISAを使う人必読!投資戦略と買うべきファンドを徹底解説
(スクリーンショットは2021年1月8日時点のもの。SBI証券より)
(画像=『ANA Financial Journal』より引用)

ひふみプラスは、国内の成長企業を投資対象とする投資信託で、レオス・キャピタルワークス株式会社が運用します。

(表4)ひふみプラス

項目 詳細
設定日 2012年5月28日
購入時手数料(税込み) 3.3%を上限に販売会社が定める
信託報酬(税込み) 1.078%以内
決算 年1回(9月30日)

国内外の上場株式を投資対象とし、割安と考えられる銘柄を選んで長期投資する商品です。信託報酬1.078%以内。設定来のトータルリターンは394.41%(2020年12月31日時点)。積極的な運用方針のため、リターンも大きくなっています。

割安コストの運用を目指す「ETF(上場株式投資信託)」を選ぶ

つみたてNISAのファンドのなかでも特に手数料が低いのがETF(Exchange Traded Funds)です。ETFは、投資信託でありながら株のように取引ができる上場投資信託をいいます。ETFは上場しているため、株と同じように市場が開いている時間であればいつでもリアルタイムの価格で取引が可能です。

なおETFは自動積立および分配金の自動再投資の設定ができません。ETFを買い増す場合は、その都度投資家が手続きする必要があります。

ただし、つみたてNISAの対象商品としてETFを扱っている金融機関が少ないのがデメリットです。

(1)国内型ETF

つみたてNISAで取り扱う7本のETFのうち国内の指標に連動する運用を行うETFは3本です。

【商品例(5)】ダイワ上場投信-トピックス

東証株価指数(TOPIX)に採用されている銘柄に投資し、TOPIXに連動する値動きを目指して運用する商品です。株式と同様に証券取引所で取引され、2020年の年初来高値は1,833円(1月20日)、安値は1,261円(3月17日)です。

(表5)ダイワ上場投信-トピックス

項目 詳細
設定日 2001年7月1日
購入時手数料 金融機関が定めた売買委託
手数料によって異なる
信託報酬
(税込み)
0.12%
決算 年1回(7月10日)
設定来分配金累計 3,243.4円
(2020年5月28日時点)

(2)海外型ETF

海外型ETFには、MSCIコクサイインデックスやS&P500を指標とするものがあります。

【商品例(6)】上場インデックスファンド米国株式

上場インデックスファンド米国株式は、S&P500を指標とするETFです。運用は、日興アセットマネジメント株式会社が行います。

(表6)上場インデックスファンド米国株式

項目 詳細
設定日 2010年10月29日
購入時手数料 金融機関が定める売買委託
手数料により異なる
信託報酬
(税込み)
0.17%
決算 年1回(1月20日)
設定来分配金累計 274.2円
(2020年5月28日時点)

3.積立投資の重要性と、つみたてNISAで運用するメリット

1章で積立投資の重要性を紹介しました。積立投資、なかでもつみたてNISAで資産運用をするとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、つみたてNISAで運用するメリットについて解説します。

3-1.積立投資の重要性を理解しよう

株や投資信託による資産形成には、大きく分けて、銘柄ごとに異なるタイミングで売買する「個別株投資」と、投資信託などを毎月決まった日に決まった金額で買い付ける「積立投資」の2つがあります。このうち、資産運用のなかに「積立投資」を組み入れることはとても重要です。

株式投資は30~40年という長いタームで見た場合、何回も大きな上昇・下落を繰り返しています。個別株投資のみを行っていると、買った時期によって大きく運用成績が異なる結果となります。一方、積立投資はどのような相場環境でも一定の金額で買い続けるため、結果的に買いコストを平準化できます。いままでのデータを長期的な視点で見れば世界経済は拡大していることから、相場の上昇・下落に左右されない資産運用を目指すなら積立投資が最適といえます。

3-2.積立投資のメリット

「積立投資」には具体的に、次のようなメリットがあります。

・積立投資のメリット1:少額で投資できる

積立投資信託は、ほとんどの証券会社で100円から取り扱っています。毎月100円の積立でも40年間続ければ元本だけで約5万円になります。毎月1,000円なら約50万円になるので、株式市場の成長による値上がりや、分配金の再投資などで大幅に資産を増やすことも夢ではありません。

・積立投資のメリット2:購入するタイミングで悩まない

個別株投資では買付や売却のタイミングで悩む人が多いでしょう。自分が買ったところが高値圏ということも珍しくありません。積立投資なら「毎月〇日に〇〇円買付」と設定するだけで自動的に買い付けができます。忙しい会社員の人に適した投資法といえます。

・積立投資のメリット3:時間による分散投資ができる

積立投資は、時間による分散投資でリスクを軽減することができます。上述した毎月一定の金額で買い続けることを「ドル・コスト平均法」といいます。価格が安いときには多くの口数を買い付け、価格が高いときには少ない口数を買い付けることになるため、結果的に買い付けコストが平準化されます。ドル・コスト平均法によって、高値掴みなどのリスクを軽減できるのです。

3-3.つみたてNISAのメリット

取扱商品も厳選され、長期投資に適したつみたてNISAは、初心者も始めやすい投資制度です。とくに注目したい2つのメリットについて、確認しましょう。

・つみたてNISAのメリット1:長期にわたりコストを抑えた運用ができる

つみたてNISAは、長期にわたってコストを抑えた運用ができます。投資において税金はコストと考えられます。NISA制度により税金がかからないことで複利効果による効率のよい運用を目指せるのです。

たとえば100万円を投資信託で運用して毎年4%の利益が出たとします。分配金を再投資した場合にNISA口座と課税口座で運用結果にどのくらいの差が出るかを以下の表7で試算しました。

(表7)NISA口座と課税口座における運用結果の違いの一例

年数 NISA口座 課税口座
1年目 104万円
(100万円+100万円×4%)
103万1,874円
{100万円+(100万円×4%-
4万円×20.315%)}
2年目 108万1,600円
(104万円+104万円×4%)
106万4,764円
{103万1,874円+(103万1,874円×4%-
4万1,274円×20.315%)}
3年目 112万4,864円
(108万1,600円+
108万1,600円×4%)
109万8,702円
{106万4,764円+(106万4,764円×4%-
4万2,590円×20.315%)}
4年目 116万9,858円
(112万4,864円+
112万4,864円×4%)
113万3,722円
{109万8,702円+(109万8,702円×4%-
4万3,948円×20.315%)}
5年目 121万6,652円
(116万9,858円+
116万9,858円×4%)
116万9,858円
{113万3,722円+(113万3,722円×4%-
4万5,348円×20.315%)}

表7では、税金がかからないことで複利効果がより大きくなることがわかりました。非課税期間が20年のつみたてNISAを活用すれば課税口座との利益の違いはさらに大きくなるでしょう。また最終的に資産を売却するときにも非課税期間中であれば課税されません。 表7の例でいえばNISAでは利益の21万6,652円すべてを受け取れますが、課税口座での受取金額は約16万9,858円になります。差額は約4万6,794円です。 ・つみたてNISAのメリット2:銘柄選びがしやすい つみたてNISAのメリットの2つめは、投資するファンドを選びやすい点です。投資信託には非常に多くのファンドがあるため「どのファンドに投資すればよいかわからない」と悩む人もいるでしょう。 しかし、つみたてNISAでは、金融庁が「長期・積み立て・分散投資」に適していると定めた投資信託があらかじめ選定されており、その数も193と限られています(2020年12月23日現在)。そのため、初心者でもファンドを選びやすく投資を始めやすいといえます。 なおつみたてNISAに選定されているファンドの特徴は以下のとおりです。 ・購入時手数料がゼロ(ノーロード)
・信託報酬が低い
・分配金を出さない運用方針
・ヘッジ目的以外にデリバティブ取引の運用をしない など