老後に向けて資産形成を考える3つのポイントとは?
こんにちは、ココザス株式会社のファイナンシャルプランナー(FP)の薗部です。
「人生100年時代」や「老後2000万円問題」などと言われるようになり、将来が不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また昨今はコロナウイルス感染症の影響で、今まで以上に資産形成を考える機会も増えていると思います。
実際にスパークス・アセット・マネジメントが実施している「スパークス・サーベイ 日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査」によると、実際に2020年に投資家デビューした人は、全現役投資家の15.3%で2019年よりも1ポイント増加。またネット証券では2020年の新規口座開設が過去最高水準の件数になるなど、多くの方が資産形成に関心を寄せていることが伺えます。
将来への不安は拭えない場合でも、ご自身の過ごしたい老後生活をイメージし老後資産について考えていくことはとても大切なこと。
しかし、どこから手をつけて何を始めればいいのか考えるのも一苦労ですよね。
そこで今回は、老後に向けた資産形成をはじめる3つのポイントをご紹介。
あなたの老後にはいくら必要なのか、どんな方法で資産形成をしていくのかを一緒に見ていきましょう。
①理想の老後にいくら必要かを考えよう
ご自身の老後にはいくら必要か計算したことはありますか?
また、定年後も働き続けるのか・誰とどこで老後の生活を送るのかなど、具体的にどんな生活をしたいかイメージしたことはあるでしょうか。
あなたの希望する老後生活にはいくら必要なのかを洗い出し、その金額を目標にして資産形成に取り組むと分かりやすいと思います。
では、具体的にどうやって計算するのかを見ていきましょう。
老後に必要な資金を「生活資金」「予備資金」「ゆとり資金」の3つに分けて考えます。それぞれいくら必要なのか見積っていきましょう。
生活資金
食費、光熱費、電話代、交際費などの基本的な生活費のこと。
生活費は下記計算式を参考にして算出してみましょう。
・夫婦2人の場合:退職前の生活費×0.7×平均余命までの年数
・夫または妻のみの場合:退職前の生活費×0.5×平均余命までの年数
予備資金
入院・介護、自宅のリフォームなどに備えた費用のこと。
万が一に備えて必要額を見積もっていきましょう。
・介護費用
平成30年度 生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」では、過去3年間に介護経験がある人にどのくらいの期間介護を行なったか確認したところ平均4年7か月という回答でした。また、介護に使用した費用は月々で78,000円。住宅のリフォームや介護用ベッドの購入など一時費用では平均69万円でした。なので、平均で約500万円が介護費用として必要になる場合があります。これらを参考に算出してみましょう。
ゆとり資金
旅行や趣味などの娯楽費用です。退職後にやりたいことを書き出していき、それぞれにかかる費用を計算してみましょう。
②貯められるお金を計算しよう
貯蓄、退職金、公的年金も含め65歳までにご自身でいくら貯められるのか見積もっていきましょう。
原則年金は65歳から受け取りとなりますが、繰り上げ・繰り下げも可能です。
ご自身の場合いつ受け取りたいかという点も一緒に考えておきましょう。
老齢基礎年金
受給資格が10年以上ある人が65歳から受け取ることができます。
【支給額】
令和2年度の満額支給額は年額 約78万円ですが、加入期間が短い人や保険料の免除期間がある人などはその期間に応じて年金の受給額が少なくなりますので注意しましょう。
【受給】
原則は65歳から受給できますが、繰上支給によって60歳から受給することもできます。しかし、その場合は1か月繰り上げるごとに0.5%減額となります。なので、60歳から受給すると30%少ない年金となります。
反対に70歳まで受給開始年齢を遅らせることも可能。この場合は1か月繰り下げるごとに0.7%増額となります。そのため、70歳から受給すると42%年金が増えます。
③資産運用を考えよう
①で見積もった「必要な金額」と②の「貯められる金額」を引き算して、不足額があれば早めに準備をはじめましょう。
老後資産を目的とした投資
収益の高い金融商品は同時にリスクも高くなるため、大きな損失が出た場合は「生活資金」などから補わなくてはいけない状況になることも考えられます。老後資産はリスクをとって高い収益を出すための目的ではありません。
そのため比較的リスクの高いFXや仮想通貨などは適しておらず、支出負担を抑えつつ長期運用ができる投資対象を選ぶことが大切です。
①老後資金におすすめの投資:投資信託
投資家から集められたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資・運用する商品です。
組み込む資産は、発展途上国の株式や債券などを投資対象とした商品が多くあり個人では投資しにくい国・地域・資産に投資できる点がメリットのひとつ。
運用した成果は投資家それぞれの投資額に応じて分配されます。
プロにお任せするため運用知識がなくとも取り組む事ができますが、委託の手数料が発生することを留意しましょう。
運用 | 運用のプロ(ファンドマネージャー)が運用します。 |
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特徴 | 10,000円または10,000口以上から投資できます。 小口のお金を集めてひとつの大きな資金として運用するため、 さまざまな資産に分散投資しリスクを軽減することが可能です。 しかし運用がうまくいかなかった場合は 元本を下回ってしまうこともありますので、 リスクも考えて取り組むと良いでしょう。 運用する期間やファンドの売却に制限がないため、 いつでもファンドの入れ替えや積立金の調整も可能です。 |
②老後資金におすすめの投資:iDeCo
公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度のひとつ。
月額5,000円からの少額ではじめられ、20歳から60歳未満の多くの方が取り組むことができます。
掛金が所得控除の対象になり、また運用益も非課税として扱われるため税負担を抑えて老後資金を貯められるメリットがあります。資産を守りながらコツコツ増やしていきたいという方におすすめの商品です。
運用 | 自分が拠出した掛け金を自分で運用を行います。 |
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特徴 | 掛け金が全額控除されるため、 節税しながら資産形成ができるのが特徴です。 しかし、原則60歳まで引き出す事ができないため その点は留意しておきましょう。 |
③老後資金におすすめの投資:つみたてNISA
2018年1月からスタートした、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
投資対象を手数料が低水準の投資信託や上場投資信託(EFT)に限定し、定期的に積み立て投資を行います。日本に住んでいる20歳以上の方がはじめられます。
コツコツ積み立てをしながら、必要な時には現金化をしたいと考える方におすすめです。iDeCoに比べると中長期的な資産形成のため、老後資金だけでなく教育資金や住宅購入資金として活用も良いでしょう。
運用 | 自分で投資信託先を選び、運用を行います。 |
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特徴 | 通常は利益に20.315%の税金がかかりますが、 つみたてNISAは最長20年非課税で運用できます。 非課税で投資できる総額は最大800万円(年間40万円×20年)。 払い出しもいつでも可能なのが特徴。 しかし非課税制度は2037年で終了してしまいます(2021年3月現在)。 2037年中に購入した投資信託についても 20年間(2056年まで)非課税で保有する事が可能です。 |
老後の不安や疑問はプロにチャット相談してみよう

老後に備えた資産形成は早めにコツコツと行うことが大切。
今回ご紹介した投資商品にはもちろんリスクもあります。投資をはじめられる際にはしっかりとリスクも考えて取り組んでいきましょう。
どういったリスクがあるのか、何が良いのか、どのくらいかければいいのかなど、分からないことがあればぜひ、私たちお金の専門家(FP)にご相談ください。
第三者という中立的な立場から、目的・目標に合わせたあなたにぴったりの投資商品をご提案させていただきます。
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