フリーランス国際協力師の原貫太です。さくマガの連載では主に、3年前に患った適応障害の経験を発信しています。
これまでは闘病中の体験記や、適応障害を克服するために意識したこと・生活の中で変えたことなどを紹介してきました。
特に「家族や友達が適応障害になった時、絶対にかけてはいけない5つの言葉」の記事は、日々たくさんの方に読んでいただいています。
僕の記事を読んだ方が「もしかしたら自分も適応障害なのかもしれない」と気がつき、心療内科や精神科に足を運ぶなど、早期に対策をしてほしい。そのような想いから、適応障害の経験を発信してきました。
ですが、それでも自分の発信が届かなかった人たち、届かない人たちは、たくさんいます。特に知人が仕事でメンタルを崩し、うつ病や適応障害などの心の病気になってしまったという話を聞いた時には、無力感さえ覚えます。
つい最近も、学生時代に仲の良かった友人がうつ病になってしまいました。彼からは度々「仕事がキツイ」と話を聞いており、「休んだほうがいいよ」と声はかけていたものの、彼はそのまま働き続け、体を壊してしまったようです。同じようなことは、他にもありました。
「仕事がしんどい」とSNSで呟いていた人が、後日適応障害と診断され、仕事を休むことになったこともあります。「病気になる前に原さんの記事を読みたかった」と、メッセージを受け取ったこともあります。
「仕事休まないと体壊すよ」の声は、なぜ当の本人には届かないのでしょうか。
適応障害の動画に届く「休めない…」のコメント
僕はさくマガでの連載以外に、自身のYouTubeチャンネルでも適応障害の経験を発信してきました。
例えば病気になる前に体に現れていた兆候を話した動画「適応障害のサイン?メンタル病み出すと現れる6つの症状」は、2021年2月28日現在で80000回以上視聴されています。
この動画には、病院で適応障害と診断された方、仕事でストレスを抱えている方、様々な状況の方からコメントが届きます。
でも、どうしても気になってしまうのが、このような内容のコメントです。
- 仕事を辞めたら収入がなくなってしまう…
- 今の仕事を辞めたら、次は見つからないかもしれない…
適応障害になる原因は様々にありますが、多くの社会人は仕事のストレスや職場での人間関係が原因で発症するといいます。
そして、その多くの人たちが「仕事を辞めたら大変なことになる」「絶対に休んではいけない」と、まるで自己暗示をかけているように思えてしまうのです。
仕事は体を犠牲にするほど大事なことか
適応障害を克服して2年以上が経ち、自分の経験を冷静に発信できるようになった今、「仕事を辞めたら大変なことになる」「絶対に休んではいけない」と言っている人たちを見ると、このように感じてしまいます。
なぜ休めないのだろうか?
もちろん家庭の経済的な状況、仕事で任されている責務の大きさ、様々な立場の人がいらっしゃいます。仕事を辞めたり、休んだりすることが、そんなに簡単なことではないということも理解しています。
それでも、自分自身が病気を経験し、体を壊したという過去があるからこそ、あえて僕は言いたいです。
仕事というのは、自分の体を犠牲にしてまで取り組むほど大事なことなのでしょうか?
自分が幸せに生きるために仕事をする。それが本来のあるべき姿にもかかわらず、仕事のせいで体を壊し、不幸な状況に追いやられているとしたら、それは本末転倒ではないでしょうか。
「身体が資本」とはよく言われますが、自分自身が病気を経験し、半年以上働けない身体になってしまったからこそ、僕はこの言葉の意味が痛いほどにわかります。