今田美桜が主演を務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)。6月9日から始まった第11週「軍隊は大きらい、だけど」が終わり、16日からは第12週「逆転しない正義」が始まる。

 第11週では、小倉連隊に配置換えされた嵩(北村匠海)が先輩隊員から理不尽な暴力を振るわれる日々を送るものの、幹部候補生の試験を受け乙種に合格したことをきっかけに先輩隊員たちと和解。隊員間の絆が深まった中、13日に放送された第55回ではついに戦地の中国に上陸することとなる。

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◆激高する兄を前に、戦う覚悟を語る千尋

 ここ最近の『あんぱん』では毎週のことではあるが、第11週も怒涛の展開の連続だった。中でも記憶に強く刻まれたのは、嵩が弟の千尋(中沢元紀)と久しぶりの再会を果たした第54回だ。困っている人を助けるため、法の道を目指すことを決意し、京都帝国大学に進学したものの、現在は海軍士官となっていた千尋。“お国の命令”ではなく、自ら志願して軍人になったと話す千尋に、嵩は怒りをにじませる。

 しかし千尋は、海軍に志願する学友たちが作る“空気”から逃れられず、海軍予備学生になったことを説明。続けて、駆逐艦に乗り、敵の潜水艦のスクリュー音を探知して爆雷を投下する任務に就いたという。嵩は「弱い者の声を聞いて、救うために、法科に行ったんだろ」と激高するが、千尋は「行き先は南方や。もう後戻りはできん」と5日後に佐世保から駆逐艦に乗艦することを淡々と伝える。

 そして、「わしはこの国の美しい海や山や川を守るために戦う。伯母さんやおしんちゃんを守るため、それからわしを産んでくれたあの母さんを守るため、のぶさんや国民学校の子どもらあを守るため、立派に戦う。そのためやったら命らあおしゅうない」と語気を強めた。