夫婦の老後のライフプランは普通、2人の収入と生活費を元に考えます。しかし、一般的に女性の平均寿命は男性よりも長いため、夫に先立たれ、妻1人で生活する期間があることも想定しなければなりません。特に専業主婦だった方にとっては、年金がどれぐらい減るのかは大きな関心事ではないでしょうか。そこで今回は、夫に先立たれた妻はいくらぐらい年金を受け取れるのかをご紹介します。

妻が1人で生活する期間は平均8年

(写真=PIXTA)

 

厚生労働省が発表した「平成30年簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.25年、女性で87.32年なので、女性は約6年男性より長生きすることがわかります。一方、同じく厚生労働省発表の「平成28年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」」によると、夫婦の年齢差(夫-妻)は2.2歳ですので、平均寿命と合わせて考えると、妻は夫に先立たれた後、約8年は1人で生活する期間があることになります。

夫に万が一のことがあった場合の年金額

(写真=PIXTA)

 

厚生労働省によると、夫が平均的収入(平均標準報酬42万8,000円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準は、以下の額になると想定されています。

表.夫婦2人が受け取る年金の種類と年金額

年金の種類 夫の老齢厚生年金 夫の老齢基礎年金 妻の老齢基礎年金 合計
年金額 9万1,488円 6万5,008円 6万5,008円 22万1,504円

夫が平均年齢である81歳の時亡くなったとすると、妻がもらえる年金額はどう変わるのでしょうか。

まず、夫の厚生年金から遺族厚生年金が支給されます。遺族厚生年金は厚生年金の4分の3と計算できるので、9万1,488円×3/4=6万8,616円になります。

次に、国民年金から支給される遺族基礎年金ですが、対象者が、死亡したものによって生計を維持されていた子のある配偶者または子となっています。ここでいう「子」とは、18歳までの子か20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子に限るので、子供がいない、またはいてもすでに成人している場合は、妻に遺族基礎年金は支給されません。

最後に、妻の老齢基礎年金は夫の死後も変わらず支給されます。これらをまとめると、夫に先立たれた後の妻が受給できる年金額は次のようになります。

表.夫に先立たれた妻が受け取る年金の種類と年金額

年金の種類 夫の遺族厚生年金 妻の老齢基礎年金 合計
年金額 6万8,616円 6万5,008円 13万3,624円

夫婦2人の時受け取っていた年金が約22万円だったので、妻1人になるとおおよそ6割程度に減ることがわかります。

 

妻1人の生活費はいくらかかるか

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では、妻1人の生活費はいくらかかるのでしょうか。総務省が発表した「家計調査年報(家計収支編)2018年」によると、65歳以上の単身女性の生活費(消費支出)は15万1,421円でした。また、生活費に加え、税金や社会保険料などの非消費支出2万2,566円(無職世帯の平均)もかかるので、合計すると高齢女性1人の生活には月に約17万4,000円必要になります。

この金額は上で計算した妻1人がもらえる年金額より4万円ほど少ないため、妻が1人で生活しなければならない8年間で不足する金額は、

4万円×12ヵ月×8年間=384万円

と計算できます。

定年前に生活費の備えを

(写真=PIXTA)

 

老後に受け取る年金額や、夫が亡くなったあと妻が受け取れる遺族年金の額は、それまでの夫婦の働き方によるので千差万別ですが、今回は夫が会社で40年間働き、妻が専業主婦だった夫婦の例をご紹介しました。

このケースでは、夫が亡くなったあとに受け取る年金額が約6割に減り、遺された妻が年金だけで生活するのは難しいことがわかります。いつまでも2人で生活できるのが理想ですが、一般的には女性の方が長生きすることが多いので、その時のための蓄えも定年前から準備しておきましょう。

 

文・松岡紀史
肩書・ライツワードFP事務所代表/ファイナンシャルプランナー
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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