「結婚したら、仕事を辞めて家事や育児に専念したいけれど、お金のことが心配」
「一度仕事から離れたら、再就職はなかなか厳しいという声を聞いた……」

結婚を機に仕事を辞めたり、働き方を変えたりしようか悩んでいる人は少なくないでしょう。仕事を辞めることは、生活のさまざまな場面に変化をもたらします。結婚を機に仕事を辞めることのメリットやデメリットを専門家のアドバイスを交えて紹介します。

結婚しても仕事を続けたい女性は増えている

(写真=Olena Yakobchuk/Shutterstock.com)

女性の社会進出が重要課題のひとつととらえられている今、結婚を機に仕事を辞めることについて、多くの女性はどのように感じているのでしょうか。

実際、結婚後も働き続けたいと思う独身女性の割合は高くなりつつあることが分かっています。

厚生労働省が2016年に発表した「第4回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)及び 第14回21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者)の概況」によると、独身女性で仕事を「結婚した後も続ける」と回答した人の割合は、2002年に比べて2012年のほうが高くなっています。一方、「結婚を機に辞める」とした人の割合は低くなっています。

さらに、仕事を「結婚した後も続ける」と回答した独身女性のうち、「出産した後も続ける」意欲のある人も、高くなっていることが分かりました。

結婚して仕事を辞めたら、もったいない?

(写真=Kaspars Grinvalds/Shutterstock.com)

せっかくこれまで仕事を頑張ってきたのに、辞めるなんてもったいないと思う人もいるかもしれません。結婚を機に仕事を辞めることで、考えられるメリットとデメリットを紹介します。

結婚して仕事を辞めるメリット

結婚して仕事を辞めることで、時間に余裕が生まれます。結婚後しばらくは新居への引っ越しや生活リズムの変化、さまざまな手続きなどで新たな生活に慣れるまでに多くの労力を要します。仕事を辞め、時間に余裕が出ることで、体力的にも精神的にも負担が軽減されるでしょう。

また、趣味や副業として携わっていたことを極めたり、それまでなかなか参加できなかった地域活動やボランティアなどの社会貢献活動にも参加できる機会が巡ってくるでしょう。新たな自分の可能性を見つけることができるかもしれません。

そして近い将来、子どもを授かりたいと希望しているなら、いざ妊娠したときにもゆったりとした時間を過ごすことができます。初めての妊娠は想像しているより体調の変化が大きいものですし、また妊娠していないときに比べ気持ちの浮き沈みが大きくなることもあります。出産後も育児や家事に専念することができます。

結婚して仕事を辞めるデメリット

完全に仕事から離れることで、それまで積み重ねてきたキャリア形成が途絶えてしまいます。また働きたいと思ったときに、以前と同じような待遇の仕事に就けない可能性もあります。

特に、出産や育児をきっかけに仕事を辞めたものの、世帯収入を増やすことや再び仕事のやりがいを得ることを求めて再就職活動をする人にとっては、独身時代の求職活動にはない苦労があります。

2015年に報告された厚生労働省委託の「出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業 労働者アンケート調査結果」によると、出産や育児をきっかけに離職した女性が再就職活動で苦労したこととして、「子どもが小さいため、家族などの支援体制がないと断られてしまう」、「希望する条件に合う仕事が見つからない」、「相談や面談時に子どもの面倒を見てくれる人がいない」などが挙げられています。

特にフルタイムの正社員としての再就職を希望する人は、一旦完全に仕事から離れてしまうと、同じような条件の仕事に就くのは大変と感じている人が多いようです。

他にも、仕事を一生懸命頑張ってきた人ほど、社会とのつながりや生きがいがなくなったことに物足りなさを感じてしまうというデメリットもあります。

完全に仕事を辞めなくても、結婚前と働き方を変えることを考えてもよいでしょう。たとえば、時間に余裕を持てる部署に異動願いを出したり、雇用形態を変えたりして働き続ける方法もあります。社内での希望が通らなければ、より働きやすい会社に転職するという選択肢もあるでしょう。