専門家に聞く~いま企業と働く人に求められること

コロナ禍における企業のメンタルヘルスについて、産業医としてさまざまな企業の安全衛生対策に取り組む、福本正勝先生にお話しをうかがいました。

産業医と考える。コロナ禍でも健康に働き続けるために~さくらインターネットの取り組み
(画像=『さくマガ』より引用)

福本 正勝 先生

労働安全コンサルタント 株式会社i・OH研究所代表 東京慈恵会医科大学・同大学院修了。産業衛生、公衆衛生、航空医学などを専門とし、複数の企業の産業衛生業務にもたずさわる。

健康問題は二極化!?

急激なテレワーク化にともない、健康問題については「改善・向上する人」あるいは「問題を抱えるようになる人」と二極化傾向にあります。

通勤がなくなったことで睡眠が長くとれるようになった、家族との時間を過ごせるようになった、などの前向きな変化を迎えた人もいれば、一方で職場に新しく入った人などは、同僚の様子がわからない中で仕事を覚えていくことは想像以上に大きなストレスになります。

また、これまで通勤と業務がセットだった頃であれば、遅刻や業務時間中の様子などで自分や周囲が不調に気付くことができましたが、テレワーク下では、最低限規則に定められた時間パソコンの前にいられれば、その後寝込んでいても把握できず、本人も企業も不調の発見が遅れてしまうことがリスクとして挙げられます。

改めて、自分自身がどちらの立場にあり、気を付けるべき点がないか客観的に振り返ることが重要です。

健康の鍵は変わらず……

良い面と悪い面をあわせもつテレワークですが、それでも健康の鍵はこれまでと変わらず「生活習慣を整えること」にあります。

運動:

通勤だけで1日数千歩は歩いていた生活が変わった現在、意識的に散歩などを取り入れましょう。なるべく日光を浴びることも自律神経を整えるうえで大切です。

アルコール:

集団での飲酒機会は減っても、自宅飲酒が増えたという声もあります。適量を守ること・休肝日の設定も心掛けましょう。また、在宅で仕事をしているとカフェイン摂取量も増えがちですので、あわせて注意しましょう。

睡眠リズム:

通勤時間がない分、睡眠時間を確保するチャンスですが、逆にギリギリまで寝るようになってしまう方も多いです。7時間以上の良質な睡眠を目安に、毎朝何かしらの習慣を設けるなど、リズムを整えましょう。部内での朝礼なども、決まった時間で、かつお互いの様子がわかるという点で良い取り組みでしょう。

意図的に設定された「雑談タイム」は、真の雑談とは違う!?

コミュニケーション量が減らないよう、「雑談タイム」などと称し部署全員を登録する方法も良くあります。すばらしい取り組みですが、一方で、これだけでコミュニケーションが完結する、という意識は持たないほうが吉です。

元来、日本人の雑談というのは、ともに手を動かしながらその延長線上で「あ、ちなみにさっきの会議でさ・・」など、非公式におこなうことで業務指導や関係構築に繋げていました。リモートワーク下でも、電話の活用など、1:1の非公式コミュニケーションが気軽に図れる状況を作っておくことも非常に大切です。

企業に求める「職場環境整備」の変化

企業が快適な職場形成のためにおこなうべき義務を定めた労働安全衛生法に準じ、厚生労働省は、テレワークで業務がおこなわれる場合であっても、オフィスと同じような作業環境となるよう労働者に助言することが望ましいというガイドラインを公開しています。

厚生労働省『自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備』

産業医と考える。コロナ禍でも健康に働き続けるために~さくらインターネットの取り組み
(画像=▲出典:厚生労働省『自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備』、『さくマガ』より引用)

社員の住宅環境・生活環境はさまざまで、企業にとってもそれらをすべて標準化して対応していくことも難しいでしょう。だからこそ、心身の負担を軽減するための情報の発信、そして社員からの相談窓口の明確化が必要です。

これまで対応したことのない変化を迎え、事態も長期化する中、多様な社員の状況に配慮しながら新たな仕組みを作っていけるよう、社員と会社双方のコミュニケーションがこれまで以上に大切になってきています。

最後に

以上、「少しですが」という前置きのわりに長くなりましたが、当社の取り組みや専門家のアドバイスを共有させていただきました。

急な状況変化の中で、スタッフ部門・サービス提供部門など各々が自身の役割の中で協力し合い、今日まで大きな混乱なく企業活動を継続できています。これは、特別な取り組みのおかげではなく、社員一人ひとりの努力とお互いへの尊敬があってこそ、です。

また、一つの視点としてメンタルヘルスやそれにともなう休職の減少を挙げましたが、もちろん、これらの是非を語る意図もまったくありません。

私たちがリーチできていないだけで、つらい状況にいる仲間がいるかもしれない、どうしたらより健康で安心して働ける職場を作っていけるだろうか? という気持ちを常に抱き、日々の業務にあたっていきたいと思っています。

最後に、コロナ禍というとどうしてもテレワークの話になりがちですが、当社では24時間365日現場での対応が必要となるスタッフや、社会が混乱する中でも日々出勤してお客さまや社員を支えるたくさんの仲間がいます。

同じように、日本全体でも医療従事者をはじめ、数えきれないほどの方がさまざまな立場で現在の状況を支えています。

どうしても閉塞感がぬぐえない中ではありますが、周囲への感謝を忘れず、私達の立場でできることに励みながら、今後もさくらインターネットでは変わらずお客さまへのサービス提供に取り組んでいきます。


提供・さくマガ(「やりたいこと」を「できる」に変えるWEBマガジン)

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