日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が加入対象の「年金制度」。2018年度の国民年金保険料は1ヵ月当たり1万6,340円となっています。1ヵ月に約2万円は結構な出費ですよね。そこで、もし経済的な理由などで保険料の納付が困難な場合は、「免除」してもらうことも可能です。

今回は、国民年金の免除制度や対象となる人や申請方法、免除制度を利用した場合には将来の年金にどのような影響がでるかなどについて解説します。

国民年金の免除制度の概要

(写真=AndreyCherkasov/Shutterstock.com)

免除される金額は、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類あります。全額免除だと納付は0円、4分の3免除だと「1万6,340円×1/4」が納付額になり、4,090円(1の位は四捨五入)です。免除を受けられる条件は、「所得が一定額以下」もしくは、「特例免除」といって失業した場合に受けられる2つの免除制度があります。

国民年金の免除対象になる基準や条件

(写真=PIXTA)

「所得が一定以下かどうか」は、前年の所得で審査されます。(申請する月が1~6月までの場合は、前々年の所得)所得は本人だけでなく、世帯主や配偶者がいる場合は本人の所得と合計し、以下の基準より所得が少なければ、免除を受けることができます。

▼国民年金の免除対象となる所得

  • 全額免除:(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
  • 4分の3免除:78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 半額免除:118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 4分の1免除:158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 「扶養親族控除」や「社会保険料控除」など、聞き慣れない言葉がいくつかあるかもしれません。扶養親族控除とは、親や子どもなど親族を扶養している場合に受けられる控除です。金額は、扶養している親族の年齢や同居の有無などで変わります。社会保険料控除は、年金保険料や健康保険料、雇用保険料などの金額の1~12月までの合計額です。

    扶養親族控除額も社会保険料控除額も、源泉徴収票や確定申告書で確認することができます。また、所得は収入とイコールではないことにも注意が必要です。所得とは、収入から経費を差し引いた金額のことを言います。会社からのお給料(給与)をもらっている方の場合、経費は「給与所得控除」と呼ばれ下記の計算式によって求められます。

    例えば、年収が300万円の場合、給与所得控除は「300万円×30%+18万円=108万円」となり、所得金額は「年収300万円-給与所得控除108万円=192万円」となります。仮に、扶養親族がおらず社会保険料控除が34万円以上あれば、192万円-34万円=158万円となり4分の1免除に該当しますね。

    免除・猶予・未納の違い

(写真=PIXTA)

学生の場合、本人に所得がなくても世帯主である親に所得があるケースでは、免除制度を受けることはできません。その場合は、「猶予制度」を申請することができます。猶予制度の条件は2つあります。

(1)20歳以上50歳未満であること
(2)本人・配偶者の所得金額が全額免除の基準と同じ、「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円以下」であること(学生の場合は、本人の所得だけで審査)

免除と猶予の違いは、将来のもらえる年金額(老齢基礎年金額)に反映されるかどうかです。

  • 免除の場合は、免除の種類によって内容は異なるが年金額に反映される
  • 猶予の場合は、年金額に反映されない ただし、遺族基礎年金や障害基礎年金は免除、猶予を問わず支給額は変わりません。一番やってはいけないのは、手続きをせずに年金保険料を支払わない「未納」です。年金額が減るというデメリットだけでなく、年金を受給できる期間を満たせないことで年金受給権すら失うこともあります。

    保険料の免除を受けると、将来もらえる年金はどれくらい変わる?

(写真=PIXTA)

保険料を20~60歳までの40年間納めた場合、老齢基礎年金の満額となる年間77万9,300円の年金を受け取ることができます。(2018年度)もし、保険料の免除制度を利用した場合は下記のようになります。

▼保険料の免除制度を利用した場合の受け取れる年金額の割合(年間)
全額免除:半分(約38万9,700円)
4分の3免除:8分の5(約48万7,100円)
半額免除:8分の6(約58万4,500円)
4分の1免除:8分の7(約68万1,900円)

年金の加入期間は40年(480ヵ月)なので、免除期間があった場合の年金受取額は、「77万9,300円×(全額納付期間+免除期間×免除割合)÷480」で計算することができます。例えば、2年間(24ヵ月)だけ4分の3免除だった期間があり、残りの期間は厚生年金に加入していたり、国民年金保険料を全額納付していたりした方がもらえる老齢基礎年金額は次の通りです。

▼2年間(24ヵ月)だけ4分の3免除があった場合
77万9,300円×{(24ヵ月×5/8)+(480ヵ月-24ヵ月)}÷480ヵ月
=76万4,688円≒76万4,700円(50円以上100円未満は100円に切り上げ)

また、「追納(ついのう)」といって、10年以内であれば、免除や猶予を受けた期間分の差額保険料を納めることで、年金の金額を満額に近づけることもできます。

免除の手続きは、どうすれば良い?申請方法について

(写真=PIXTA)

免除の申請手続きは、前年1月1日時点で住民票のある市町村(区)役所の国民年金担当窓口で行います。必要な書類は、申請用紙と添付書類の2つです。添付書類は、年金手帳か基礎年金番号通知書は必須となり、失業によって申請を受けたい方は、雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写しが必要です。

申請者本人や所得計算で合計する家族の所得を証明する書類(源泉徴収票や確定申告書など)は添付書類ではありませんが、念のため持参すると良いですよ。免除・猶予申請は、申請すれば通るものではなく、書類を審査して承認をしてもらう必要があります。承認されなかった場合は、保険料を納付しなければなりません。

また、申請は原則として「毎年度」必要となる点が注意ですが、申請書の継続希望区分欄の「する」に○をしておけば、翌年度も自動的に審査してもらえます。会社を退職したときなど「どう手続きすれば良いか分からない」という方も多いと思いますが、早めに相談窓口へ行って手続きをすることをおすすめします。

自分で手続きすると、「こんな仕組みになっていたのか!」と分かることもたくさんあります。老後の生活に大切な年金は、制度の特性や免除、猶予などのポイントを押さえて無理なく払ってしっかり受け取りましょうね。

iDeCo(個人型確定拠出年金)を始めてみる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は「じぶん年金」の決定版であり、老後の資産づくりのための最強の制度です。iDeCoの魅力はたくさんありますが、特に次の3つが大きな魅力です。

・税金の面でとても優遇されている
・毎月5千円から始められる
・投資信託の手数料がとても安い

老後に向けた準備としてiDeCoを始めるのに、おすすめのネット証券をご紹介致します。
 

iDeCoにおすすめのネット証券比較表
(2020年6月時点)
証券会社名 SBI証券 楽天証券 auカブコム証券 マネックス証券 松井証券
投資信託
本数
オリジナル:38本
セレクト:37本
32本 27本 25本 12本
加入手数料 ¥2,829 ¥2,829 ¥2,829 ¥2,829 ¥2,829
口座管理料 ¥171 ¥171 ¥171 ¥171 ¥171
サポート体制 平日・土曜の8:00?18:00
(※土曜は新規加入に関す
る問い合わせのみ受付)
平日10:00~19:00
土曜9:00~17:00
平日10:00~19:00
土曜9:00~17:00
平日9:00~20:00
土日9:00~17:00
平日8:30~17:00
特徴 ・iDeCo加入者数No.1で10
年の実績をもつネット証券
最大手
・iDeCo専用ロボアドバイ
ザーによって好みに合った
商品を選択できる
資産運用しやすい管理画面
と無料セミナーなどの充実
したサポート
残高に応じてau WALLETポ
イントが貯まる(一部商品)
ロボアドバイザーによるiDe
Co専用無料ポートフォリオ
診断があり、簡単な質問に
答えるだけで最適な資産運
用が可能
「iDeCoシミュレーター」で
iDeCoを利用した場合の節税
額を簡単にチェックできる
公式サイト 公式サイト 公式サイト 公式サイト 公式サイト

文・冨士野喜子(ふじのFP事務所)

【こちらの記事もおすすめ】
老後のための、幸せ貯金計画
「老後のお金」3つのポイント
豊かな老後のための3つのToDo
人生100年時代に必要な「生涯学習」って?
独身女性が安心できる貯金額はいくら?