
▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
ズバリ、損益分岐点は「プラス11.9年」
ご承知のとおり、公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)の受給開始年齢は、原則65歳からとなります。本記事では詳細な説明は割愛しますが、年金を60歳から65歳までの間に早く受給できる繰上げ受給も選択することができます。
繰下げ受給では、66歳から75歳までの間に受給開始時期を遅らせることで、年金額が1月当たり0.7%ずつ増額され、生涯増額された年金額を受給することができるようになります。
増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
例えば、1年(12月)繰下げた場合は、8.4%(=0.7%×12月)の増額率で年金額を増やすことができます。75歳まで最大に繰下げた場合には、8.4%×10年で84%の増加率となります。
ただし、繰下げている期間は年金を受け取ることができないため、他の資金(退職金、給与収入、預貯金等)で生活費などを賄う必要があります。手元の資金が潤沢であれば特に問題はないと思われますが、年金を老後資金の中心として考えていた場合には、受給開始時期の選択は特に重要となるでしょう。
単純に受給開始年齢を65歳とした場合と、一定年齢繰下げした場合の損益分岐点は、ズバリ、受給を開始した年齢プラス「11.9年」となります。
例えば、70歳まで5年間繰下げたケースを考えてみましょう。このとき、65歳時点での年金額を100%とすると、70歳から受給できる年金額は100%+8.4%×5年=142%となります。70歳までの間の5年間は年金を受け取っていないため、その分(100%×5年分)を増加率42%で割った数値でトントン(損益分岐点)となります。
100%×5年÷42%=11.9年(70歳から11.9年後にトントン)
このように、繰下げ受給の場合は、繰下げた受給開始年齢から11.9年(おおむね干支一回り)以上生きて年金を受給できれば、それ以降は65歳で受給開始したときよりもお得になると考えられます。