会社員で「iDeCo」が気になってたけど、「退職所得控除が改悪」というニュースを見て心配に。改悪するなら、今から始める必要はないですよね…?
2024年12月20日に決定された令和7年度の与党税制改正大綱で示された、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の見直し内容の一部が「改悪ではないか」と言われているのはご存じでしょうか。   本記事では、税制改正大綱で決まったiDeCoの改正点の中でも「5年ルール」の変更に焦点を当てて紹介しつつ、「改悪するならiDeCoを始めないほうが良いのか? 」という疑問に対しても回答します。

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iDeCoの「改悪」といわれる「5年ルール」の変更とは

iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金のことで、自分で掛け金を積み立てて金融商品に投資し、最短60歳以降に元金と利息の合計額を受け取れるという私的年金です。
 
将来にお金を受け取る方法としては「一時金」「年金」の2通りがあります。一時金で受け取る場合、原則60歳に達したら75歳になるまでの間に一括で受け取れ、年金として受け取る場合、原則60歳に達したら5年以上20年以下の期間で受け取れます。一時金と年金の併用も可能です。
 
今回紹介する「5年ルール」は一時金での受け取りに関係する話です。
 

一時金で受け取る際に適用される退職所得控除

「5年ルール」の前提として、iDeCoの退職所得控除について確認しておきましょう。
 
iDeCoは受け取り時に「一時金」を選択することでまとまった資金を一度に得ることができ、受け取り時には、税制メリットが大きい「退職所得控除」が適用されます。
 
退職所得控除の金額は、iDeCoの加入年数によって計算式が異なります。

加入年数20年以下の退職所得控除:40万円×加入年数
 
加入年数20年超の退職所得控除:800万円+70万円×(加入年数-20年)

例えば、加入年数が30年であれば「800万円+70万円×(30年-20年)」となり、受け取る金額のうち1500万円が非課税になります。一時金の金額が2000万円になった場合の退職所得額は(2000万円-1500万円)×1/2=250万円です。
 
所得税率が20%、住民税率が10%と仮定した場合、所得税は250万円×20%=50万円、住民税は250万円×10%=25万円で、合計75万円を税金として納める計算になります。
 

退職金とiDeCoを同時に受け取ると税金負担が増える可能性がある