長女が子どもを連れて離婚……。「養育費」をもらっていないのですが、これって普通ですか? 私たちも家計に余裕がないのであまり援助できません
長女が子連れ離婚、実家に戻ってきたというAさん。元夫と関係を持ちたくないと養育費をもらっていないのですが、仕事がとても忙しそう……。「これって今は普通のことなのでしょうか」とのご質問です。また、自分たちも家計に余裕がないので、娘家族に対し金銭的な援助は今後もあまりできないことも不安だそうです。

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みんな養育費をもらえているのか?

離婚する際は、財産分与や年金分割、慰謝料、そして養育費など、お金に関わるさまざまな頭の痛い問題を整理・解決しないといけません。しかし、顔も合わせたくない相手だと、考えるだけで気がめいってしまいます。離婚する人はみんな、養育費を取り決めているのでしょうか?
 
厚生労働省が実施した、ひとり親世帯に関する調査結果(※1)によると、離婚後の母子世帯では、養育費を取り決めている割合が46.7%、取り決めていない割合が51.2%と、取り決めていない世帯のほうが多くなっています。
 
また、離婚方法で見ると、協議離婚の場合は取り決めているのが43.6%であるのに対し、その他の離婚(調停離婚、審判離婚・裁判離婚)だと81.2%と圧倒的に多くなります。
養育費は、たとえ離婚しても親として支払義務を負うので、当事者だけで決めた協議離婚より、第三者が関わる調停離婚等のほうが、公正証書などでの取り決めまでしっかり実行していると考えられます。
 
ただし、母子世帯で実際に養育費を継続的に受け取れているのは3割弱で、約57%が養育費を受けたことがない状態です。裁判所等で取り決めても、実態は相当の未払い率だということです。
なお、離婚時に取り決めていなくても、離婚後にあらためて取り決めることもできます(※2)。
 

養育費をもらわない人もいる

養育費支払いは義務にもかかわらず、離婚時に取り決めしない割合が以外に高かったのはなぜなのでしょうか?
同じ調査の中で理由も聞いています。表1では母子・父子世帯いずれも上位5つを抜き出しました。
 

 
母子世帯では長女同様に「相手と関わりたくない」が最も多くなっていますね。父子世帯でも上位です。母子世帯では「暴力を受けた」など、お金よりもまず相手から距離を置きたい切実さがより強く表れています。
一方、父子世帯の特徴は「自分の収入等で経済的に問題がない」です。母子世帯との決定的な違いといえます。
 

経済力の格差