70歳の父が「生活保護」を申請したらしく、市役所から手紙が届いた!「年収500万円」ですが、収入も調べられますか? 10年以上連絡を取っておらず余裕もありません…
厚生労働省が発表した2024年11月の生活保護の被保護者調査によると、生活保護の申請件数は前年同月比で1.6%増加しています。生活保護受給者の世帯類型別内訳をみると、約半分を占めているのが高齢者の単身世帯です。   少子高齢化社会が進行する中で、生活に困窮する高齢者の数は年々増加していると考えられます。こうした状況下では、高齢の親が生活保護を申請するというケースも珍しくないのかもしれません。   もし、長年連絡を取っていない自分の親が生活保護を申請したと、突然行政から手紙が届いた場合、どのように対処するのが適切なのでしょうか。本記事では、生活保護申請時に調査される範囲や、申請者の支援を断る場合にどのような影響があるのかを解説します。

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生活保護申請時に調べられる範囲

生活保護の申請があると、申請者の生活状況などを把握するために実地調査を行います。調査の範囲には、申請者本人の預貯金や保険、不動産などの資産や、年金、収入などが含まれます。
 
生活保護費の支給は原則として世帯単位で決定されるため、家族や同居人の状況も考慮されますが、同居していない家族の資産状況は通常は考慮されません。しかし、民法第877条では、直系血族および兄弟姉妹らを指す扶養義務者の扶養が、生活保護よりも優先されると定められています。
 
そのため扶養義務者に対する調査は原則行われ、扶養義務者に送られる調査書類「扶養届書」では、金銭的な援助の可否から、収入、不動産などの資産、また負債の状況について回答が求められます。
 
このとき、もし扶養義務者が援助可能であるにもかかわらず、援助を行っていないと判断された場合、扶養義務者に対しても、銀行などの関係機関への照会が行われることがあります。ただし、行政が家庭の事情に立ち入るべきではないという見方もあり、通知や照会は慎重に行われているようです。
 

支援を断ったらどうなる?