子どもに相続できる預金が200万円しかありません…。少しでも多く渡したいのですが「相続税」はかかってしまうのでしょうか?
近年、老後資金や相続に関する調査が行われ、多くの人が相続できる預金額に不安を抱えていることが明らかになっています。このような状況でも、「子どもに少しでも多くの資産を残したい」と考える親世代は少なくありません。   本記事では、相続できる預金が200万円しかない場合に相続税がかかるのか、相続対策の注意点とともに解説します。

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相続できる預金額の半数が500万円以下

ベンチャーサポート相続税理士法人(東京都中央区)が実施した「老後資金に関する調査」(調査実施期間:2024年9月30日、有効回答数:1010人)によると、子どもへ相続予定の預貯金額が「500万円未満」と回答した人が52.1%にも上りました。
 
さらに、3000万円以上の預貯金を相続できる予定の人はわずか10.5%であり、親からの資産承継における格差が広がっていることが分かります。
 
また、老後資金に関しては、65歳以上の年金受給者のうち31.3%の人が「500万円未満」の貯蓄しかないと回答しており、老後資金不足が深刻であることもうかがえます。
 
相続できる資産が少ないからこそ、相続税の有無が気になる方も多いのではないでしょうか。次に、相続税の仕組みを見ていきましょう。
 

相続税の仕組みとは?

相続税には「基礎控除額」という制度があり、相続財産がこの金額を超えないかぎり、相続税は発生しません。基礎控除額は、以下の計算式で求められます。
 
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
 
基礎控除額を超えた部分に対して、相続税が発生することになります。法定相続人ごとの基礎控除額は、図表1の通りです。
 
図表1

相続人の人数 基礎控除額 相続財産200万円に対する相続税
1人 3600万円 課税されない
2人 4200万円 課税されない
3人 4800万円 課税されない