他人の日常に触れ、子どもの世界が広がる!親には子どもの成長を見られるメリットも

北海道知床でのワーケーションでは道端でキタキツネに遭遇

編集部:当初ワーケーションが不安だったお子さんが、結果的に楽しく過ごせたと伺いましたが、子どもにとってもワーケーションと旅行はちょっと違う、と感じるものなのでしょうか?

今村:いまや「普通の旅行よりワーケーションのほうが楽しい!」と言うくらいです。ワーケーションでは、地域の方の日常に触れることができます。他の人の日常のことを「他日常(たにちじょう)」と呼んでいますが、それによって子どもたちの世界がすごく広がるんです。たとえば、うちの子どもたちは、スーパーの売り場にすごく大きな魚が並んでいてびっくりしたり、北海道では道端でキタキツネに遭遇したり、浜辺で拾う貝殻がホタテで衝撃を受けたり。地域のおじいちゃんやおばあちゃんに優しくしてもらうのも、各地にお友だちができるのも、代えがたい経験です。

編集部:子どもたちに広い視野を持ってもらえそうです。

今村:自分が普段いる世界がすべてではないですよね。自分にとっての「当たり前」が必ずしも当たり前ではなく、まったく違う文化がある。それは、旅行で体験できる非日常とはまた少し異なるものだと思っているんです。だから私はワーケーションに行くなら単身ではなく、子どもたちを連れていきたいですね。他日常に触れた子どもたちの驚きや、新しい経験を間近で見られるのも、うれしいことだなと思っていて。

編集部:多様な世界を見せたいママに親子ワーケーションはおすすめですね。

今村:実際、子どもたちはワーケーションでとても成長しました。私の場合は「ワンオペワーケーション」なので、子どもを3人連れて行くのは、どうしても手間がかかるんですよね。上の子たちはそれが分かっているので、自分のことは自分でやろうという気持ちが生まれたと感じます。荷物を自分で整理したり、重たいリュックを頑張って持ったり。特に3人目がまだ0歳なので、お姉ちゃんたちはとても協力的です。日常生活から離れた環境で、子どもたちにできることがどんどん増えていくなと感じています。

編集部:ワーケーションは大人にメリットがあるだけではなく、子どもの世界を広げて自立を促す上でもプラスだとは知りませんでした!

親子ワーケーションをきっかけに仕事と生活を近づける働き方へ

新しい働き方として注目されるワーケーションに社員が挑戦することは会社にとって実証実験にもなる

編集部:最後に、これから親子ワーケーションを始めたい人へのアドバイスをいただけますか?

今村:とても大切だと思うのが、ワーケーションの目的を考えることです。目的によって過ごし方が変わりますから。ビジネスチャンスを探すために各地に行くのか、それとも子どもにいろんな経験をさせたいから行くのかで、過ごし方はまったく違います。自分がワーケーションをしたいのはなぜなのか、まず考えるのをおすすめしたいです。

編集部:ワーケーションに積極的な会社はまだ少数だと思います。社内の理解はどう得るのが良いと思いますか?

今村:私の経験談から言うと、「そういう働き方をする人」だと自分で自分に“タグ付け”をしてしまうことです。ワーケーションをする人だといったん認識されると意外と行きやすくなったりします。今、ワーケーションはICT企業を中心に新規ビジネスの視点からも注目されていますよね。「実証実験としてやります」と宣言して、経験を仕事に反映していくと、他部署から意見を求められることもあるのではないでしょうか。

編集部:今村さん自身も仕事に活かしているのですか?

今村:私自身は、自分のワーケーション体験や出会った人の働き方を記事にするなどしています。ちなみにワーケーション中の業務時間は勤務として扱ってもらっていて、交通費や宿泊費などの経費は自費です。それからワーケーション経験を元に、働き方を考える新規事業「Next Style Lab」を社内で発足させました。読者とのディスカッションを記事や企画に反映する取り組みを始めています。

編集部:プライベートの関心とお仕事を近づけている姿、理想的ですね。

今村:子どもが生まれてから時間が限られるので、生活とのシナジー効果を生むような働き方をしたいと思うようになって。自分の興味関心と仕事が混じり合って、どこまでが趣味でどこからが仕事か、わからないくらいになっているんですけど(笑) これからはワークライフバランスではなくて、仕事と生活を統合したワークライフインテグレーションを目指したいですよね。

編集部:親子ワーケーションは、ワークライフインテグレーションを実現するきっかけになりそうです。

今村:そう思います。社内で新たな挑戦をする”ファーストペンギン”になるのは勇気がいると思います。新しい働き方を試みる仲間が欲しくなったら、NextStyleLabのイベントにもぜひ参加してみてください。これからの働き方を一緒に考える仲間が増えたらうれしいです。

 

ワーケーションに興味はあれど踏み出せなかった一歩目。「子どもと行くのは大変」と今は無理だと思っていました。それに旅先での仕事中に子どもを我慢させる後ろめたさも、心のどこかに。そんな私にとって「親子ワーケーションは子どもの世界を広げる」「預ける選択肢もある」とは目からウロコのお話でした。コロナが落ち着いたら出発できるよう、計画を始めたいと思います。

今村 茜さんプロフィール

毎日みらい創造ラボ兼毎日新聞記者。2006年毎日新聞社入社、経済部などで働き方の取材を進める。子連れワーケーションのルポ記事執筆を機に、新しい働き方を模索する新規事業「Next Style Lab」を社内で発足。2020年4月からは記者を兼務しながら、オープンイノベーションを推進する「毎日みらい創造ラボ」で事業展開。「#働くを考える」イベントを毎月開催しながら、親子ワーケーションの受け皿拡大を目指し活動中。公開FBグループ「親子ワーケーション部」参加者募集中。Google News Initiative Newsroom Leadership Program 2019-2020 フェロー。3児の母。

提供・LAXIC

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