4月から6月に残業しすぎると「社会保険料」が増えてしまうと聞きました。仮に「月20時間」残業すると、いくらくらい「社会保険料」は高くなりますか?
「4月から6月に残業しすぎると社会保険料が増えてしまう」という話を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。実際、社会保険料は4月から6月の給与の平均に基づき算出されるため、給与が高いほど社会保険料も高くなります。   本記事では、4月から6月に残業すると社会保険料が増える理由や、月20時間残業するといくらくらい社会保険料は高くなるのかを解説します。

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4月から6月に残業すると「社会保険料」が増える理由

毎月の社会保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて算出されます。標準報酬月額とは、被保険者が受け取る月ごとの報酬を一定の範囲で区切って等級ごとに当てはめたものです。しかし、実際の給与と標準報酬月額に大きな差があると社会保険料を正しく算出できません。そのため、毎年決まった時期に社会保険料の定時決定が行われます。
 
定時決定とは、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額を決定することです。報酬月額とは、毎月の給与や手当を指します。4月から6月に残業すると、報酬月額によっては標準報酬月額の等級も上がるため、社会保険料が高くなってしまうのです。
 
なお、定時決定により見直された標準報酬月額は原則としてその年の9月から翌年の8月まで適用されます。
 

「月20時間」残業すると「社会保険料」は「年間約7万円」高くなる恐れがある

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報」によると、所定外給与は月1万9634円、所定外労働時間は10.0時間となっています。
 
1時間あたりの残業代を約2000円と仮定すると、月20時間残業した場合の残業代は約4万円です。月20時間の残業により4月から6月の報酬月額の平均が4万円上がった場合、標準報酬月額が1~2等級上がり、それに応じて社会保険料も高くなる恐れがあります。
 
例えば東京都在住で、全国健康保険協会に加入しており、介護保険第2号被保険者に該当しない場合、標準報酬月額が30万円の場合と34万円の場合における社会保険料の違いを表1にまとめました。
 
表1

標準報酬月額 健康保険料(折半額) 厚生年金保険料(折半額)
30万円 1万4865円 2万7450円
34万円 1万6847円 3万1110円