64歳の母は仕事をしていますが、62歳から厚生年金ももらっています。「少しだから……」と確定申告をしていないようですが、問題ありませんか?
Aさんのお母さまは64歳。Aさんが小学生の頃にパートタイムで働き始め、中学校に入学を機にフルタイムで働き、60歳を超えた今はパートタイムで働いています。   給与収入以外にも、2年前から年金も受け取っているそうです。しかし、確定申告をしている様子はありません。「確定申告はしているの?」とお母さまに聞くと、「少しだから……しなくてもいいじゃない?」と言われたそうです。   確定申告をする必要があるのでは、とAさんは心配しています。

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確定申告が必要な人

所得があると確定申告をして納税額を確定しますが、給与所得者は年末調整で所得税が精算されるので、ほとんどの場合確定申告は不要です。しかし、以下のような場合は、給与所得者でも確定申告が必要です。


(1)給与収入が2000万円を超える

(2)給与を1ヶ所から受けていて、給与の全部が源泉徴収されている場合に、給与所得以外(給与所得・退職所得を除く)の所得の合計が20万円を超える

(3)給与を2ヶ所以上から受けていて、給与の全部が源泉徴収されている場合、年末調整されなかった給与と、その他の所得との合計が20万円を超える

(4)同族会社の役員や親族が、その会社から給与のほかに、貸付金の利子や工場の賃貸料や機会・器具の使用料などの支払いを受けた

(5)災害減免法により、所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた

(6)在日の外国に勤務する方や家事使用人の方等で、給与を受ける際に源泉徴収されないこととなっている

(引用:国税庁「確定申告が必要な方」)

 

公的年金等控除

給与収入と年金収入があるAさんのお母さまは、給与所得のほかは公的年金等による雑所得のみです(公的年金等とは、国民年金法、厚生年金法、共済組合法などの規定による年金のほか、過去の勤務により会社などから支払われる年金や、確定給付企業年金法規定に基づいて支給を受ける年金などをいいます。生命保険や生命共済、互助年金などは該当しません)。
 
公的年金等による雑所得が20万円を超えなければ、所得税の確定申告は不要となるのですが、年金収入がいくらまでなら不要となるのでしょうか。
 
公的年金等による雑所得は、年金額から公的年金等控除を差し引いて所得を出します。公的年金等控除額は、公的年金以外の合計所得と年齢により決まります。公的年金以外の所得が1000万円以下の場合、図表1により公的年金に係る雑所得の計算をします。
 
図表1

 
雑所得が0になるケースは、65歳未満の場合は公的年金等の収入が60万円(65歳以上の場合は110万円)です。よって、所得税の確定申告が不要になるのは、65歳未満の場合は公的年金収入が80万円(65歳以上の場合は130万円)までとなります。
 

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