私の母は「生活保護」を受けています。生活保護を受けている場合でも、「老後」に「年金」をもらえるのでしょうか?
経済的、心身的理由から、生活保護を受けている人がいます。そのような場合、老後に受給できる公的年金には制限などがかかるのでしょうか。生活保護を受けている場合、公的年金をもらえることはできるのでしょうか。どのような仕組みになっているのか、解説します。

▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?

生活保護と公的年金は同時に受給することは可能だけれど……

まず結論から申し上げると、公的年金を受給している場合でも生活保護を受けることはできます。受給できる目安としては、年金が最低生活費よりも少ないときといえます。つまり、最低限度の生活を送るための援助として生活保護を受けることが可能となるのです。
 
ここでポイントとなるのが受け取れる年金額です。年金は収入とみなされますので、受け取れる年金受給額によって生活保護を受給できるかどうかが変わってきます。
 
このことからも分かるように、「無条件で生活保護と公的年金をもらうことはできない」ということです。
 
生活保護と公的年金を同時に受給するためには、財産等に関する条件が重要です。どのような条件があるのか、詳しく見ていきましょう。
 

生活保護と公的年金を同時に受給するための条件とは?

そもそも生活保護を受けるためには、最低限度の生活の維持が困難なときに支給されるものです。そのためには、世帯員全員で、その利用し得る資産、能力、その他を活用することが前提です。その前提となる4つは下記のとおりです。
 
(1) 資産の活用
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば、まずは売却等し生活費に充てること。
 
(2) 能力の活用
働くことが可能なら、能力に応じて働くこと。
 
(3) あらゆるものの活用
年金や手当など他の制度で給付を受けられるときには、まずそれらを活用すること。
 
(4) 扶養義務者の扶養
親族等から援助を受けられる場合は、援助を受けること。
 
(1)~(4)の項目をさらに深く掘り下げてみます。
 
まず現金や不動産等の財産を持っていない場合です。年金の活用には公的年金も含まれますが、受給する公的年金額が国の定める最低生活費を下回っているときには、生活保護を受給できることがあります。
 
ただし、このとき受け取れる生活保護の支給額は、最低生活費から年金受給額を差し引いた金額となります。
 
なお、最低生活費は居住地域や世帯人数や年齢などによって異なっており、居住地域は1級地-1〜3級地-2まで6段階に分類されており(※1)、各地域で生活に必要な額として基準額(※2)が定められていますので確認しておきましょう。
 

~最低生活費の算出方法~
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