1年間に贈与された財産の合計額が基礎控除額の110万円以下であれば、贈与税が非課税となるため確定申告は必要ありません。
 
ただし、1年ごとの金額は基礎控除以下であっても、例えば年間100万円を10年間、合計1000万円贈与した場合、「年間100万円で10年間毎年贈与する」という契約(定期贈与)だと税務署に判断され、贈与税が課される可能性があります。
 
このような場合、基本的には、毎年贈与する際に暦年贈与として贈与契約書を締結しておくなどの対応を検討しましょう。
 

祖父母が孫に贈与する際の注意点

今回の事例のように祖父母が孫に財産を贈与する際、覚えておきたい主な注意点には、以下のようなものがあります。
 

1.相続税による生前贈与加算

祖父母が亡くなり、相続、遺贈により孫が相続人として財産を取得した場合、祖父母から加算対象期間(相続開始日より異なるが、原則、相続開始日前7年間)に贈与を受けていたとき、孫の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算します。
 

2.贈与税の税率は孫の年齢で異なる

直系尊属(祖父母)から贈与を受けた年の1月1日において、受贈者(孫)が18歳以上であると、「特例税率」を適用することができます。それ以外の「一般税率」より有利となる税額表で計算することができます。
 

3.相続時精算課税を選択できる

贈与者(満60歳以上)の祖父母が受贈者(満18歳以上)の孫に贈与する場合には、相続時精算課税を選択適用することができます。この制度によって、2500万円までの贈与財産(年間110万円の控除も可能)は贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分については一律20%で贈与税を計算することができます。
 

4.贈与税の非課税措置

教育資金や結婚・子育て資金を一括贈与する場合に、一定の条件を満たし、所定の手続きを行うことで非課税措置を適用することができます。なお、現時点において、教育資金は令和8月3月31日までの特例(1500万円まで)、結婚・子育て資金は令和7年3月31日までの特例(1000万円まで)という時限的な制度となっています。
 

まとめ