退職金と年金だけで「老後の生活費」は足りるのか不安です。貯金がゼロの状態から、どのようにやりくりすればよいのでしょうか?
貯金が全くなく、退職金と年金だけで老後生活することに不安を感じている人もいるでしょう。退職金と年金だけでは老後の生活費がまかなえないケースがあるため、やりくりは必要です。   そこで本記事では、老後の生活費にどれくらいかかるのか、どのようにやりくりしていけばよいかについて解説します。

▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算

老後の生活費はどれくらい必要か

具体的に老後の生活費にいくらかかるのか、総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年」をもとに見ていきましょう。65歳以上の消費支出の平均月額は、以下のとおりです。
 

・夫婦2人の無職世帯……25万959円
・単身無職世帯……14万5430円

 
一人暮らしであっても、月に15万円程度が必要です。ゆとりある生活をしたい場合は、さらなるお金が必要になるでしょう。
 
では、受け取れる年金と退職金はどれくらいでしょうか。日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」によると、支払い月額の例は以下のとおりです。
 

・国民年金(老齢基礎年金の満額)……6万8000円
・厚生年金(夫婦2人の基礎年金を含む)……23万483円
※令和6年度

 
老齢基礎年金のみが支給される場合、たとえ満額であったとしても単身世帯で月7万7430円不足することになります。
 
退職金について、東京都「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」からモデル退職金を見てみましょう。
 

・高卒……974万1000円
・高専、短大卒……992万円
・大卒……1149万5000円

 
生活費について、国民年金受給者の単身世帯でシミュレーションします。65~85歳までの20年間で、不足する生活費は以下のとおりです。
 
7万7460円×12月×20年=1858万3200円
 
今回の試算からは、退職金をすべて生活費にあてられたとしても、国民年金受給だけでは不足してしまいます。