「自営業」vs「会社員」同じ年収600万円でも、老後の年金額はかなりの差に!? 将来の「受給額」を比較
将来もらえる年金は、働いている間の収入で差がつくと理解している人も多いでしょう。しかし、自営業者と会社員では、適用される年金制度の違いから、仮に同じ年収であっても、自営業者の年金受給額のほうが少なくなってしまいます。   そこで本記事では、年収600万円の自営業と会社員の年金受給額を比較してみます。また、年金受給額の少ない自営業者は、どうすれば年金を増やせるのかも解説しますので、参考にしてください。

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自営業者と会社員が加入する年金制度の違い

日本の年金制度は基本的には「2階建て」ですが、図表1のとおり、自営業者が加入するのは全国民に加入義務のある国民年金のみ、第2号被保険者の会社員は2階に相当する厚生年金にも加入しています。
 
つまり、自営業者が受給する年金は、老齢基礎年金とも呼ばれる国民年金のみなのに対し、会社員は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類を受給するのが大きな違いです。
 
図表1
図表1
日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
 
1階に相当する老齢基礎年金の保険料は収入に関係なく、令和7年度であれば月1万7510円です。そのため、老齢基礎年金の受給額は、収入ではなく加入月数の長さで決まります。例えば40年間480月保険料を支払えば満額となり、受給額は令和7年度で月額6万9308円です。
 
2階部分の厚生年金の保険料は、収入に対する保険料率が定められており、収入が増えると多くの保険料を徴収されるため、将来もらえる年金も増えます。これが一般的に「収入が多いと年金も増える」と言われる要因です。
 

年収600万円の自営業者と会社員では年金にどれくらい差があるのか

それでは、年収600万円の自営業者と会社員では、どれくらい年金受給額に差が生じるのか試算してみましょう。いずれも40年間保険料を納めたと仮定すれば、老齢基礎年金はともに満額となり差は生じません。
 
会社員しか受給資格のない老齢厚生年金については、平成15年以降の期間であれば「平均標準報酬額×5.481÷1000×厚生年金への加入月数」で年金額を計算可能です。
 
年収600万円で月額報酬を50万円とすれば、受給額は「50万円×5.481÷1000×480月=年約131万5000円」となります。つまり、この分だけ会社員の年金が自営業者より多く、同じ年収600万円では受給額に月10万円以上の差が生じるのです。
 

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