扶養義務者からの学費の援助であっても、都度贈与に当たらない財産の贈与には贈与税がかかることに注意が必要です。
国税庁は、「学費の名目で贈与を受けた場合でも、預金や株式の購入に充てる場合は贈与税がかかる」としています。例えば、祖父母が孫に学費のつもりで贈与をしたとしても、学費は親(祖父母の子)が支払っており、祖父母からもらった全額を預金していたというケースのような場合、贈与税の対象となってしまいます。
また、都度贈与に該当するかどうかの判断は税務署が行うため、客観的な証拠を残しておくことが重要です。例えば、学費の領収書や振り込み明細を保管しておくことや、祖父母が直接学費を支払う(振り込む)ことなどが有効とされています。
では、4年間の学費の援助を目的に、400万円を一括で贈与した場合はどうでしょうか? 1年目の入学金や学費は都度贈与に当たります。しかし、それ以外の部分は、「2年目以降の学費」のための預金となるので、贈与税の課税対象となります。
贈与税を非課税とするためには、数年分を一括で贈与するのではなく、毎年必要額を贈与する形にしなければなりません。
数年分の教育資金を一括で贈与したい場合は「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」を利用する方法もあります。この制度を利用すれば、最大1500万円まで非課税贈与が可能です。金融機関との契約が必要でひと手間かかるものの、検討しても良いでしょう。
学費としての贈与には原則贈与税はかからないが、例外もあるので気を付けよう
通常祖父母から孫へ、学費として贈与をする際には贈与税はかかりません。これは、学費が高くなりがちな理系学部、医学部などへの進学に関しても同様です。ただし、あくまでも「必要な都度、直接学費に充てる財産」の贈与に限られます。
また、学費として渡しても孫が学費として使わなかった場合や、数年分の学費を一括で渡した場合には贈与税の対象となることは知っておくべきでしょう。贈与税が課されることを避けたいのであれば、孫にお金を渡すのではなく、直接祖父母が学費を支払う(振り込む)ことが確実です。
学費の贈与について正しい知識を身に付け、余計なトラブルを防ぎましょう。