就職活動中の大学生です。「公務員」と「民間企業」のどちらを選ぶべきか悩んでいます。生涯年収に大きな差はあるのでしょうか?
就職活動中、安定した働き方を求めて「公務員」を視野に入れる学生は多い一方で、将来性や年収の面から「民間企業」の道に進む人も少なくありません。特に気になるのが、生涯年収の差でしょう。   「安定と収入、どちらを優先すべきなのか……」、この問いに答えを出すために、公務員と民間企業の生涯年収を比較しながら、それぞれの特徴や向いている人の傾向も見ていきましょう。

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公務員と民間企業、年収はどれくらい違うのか?

まずは、実際の年収水準について確認してみましょう。国家公務員の生涯年収は役職によって異なり、一般職で約2億円、総合職で約2億4000万円と考えられます。地方公務員の生涯年収は自治体の規模などによって異なり、約2億~2億5000万円です。
 
一方、民間企業の平均年収は、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査結果」によると、460万円(男性569万円、女性316万円)となっています。ただし、これはあくまで平均的な数字です。
 
例えば、外資系や高収入の業種ではこれより高くなる一方で、中小企業や非正規雇用の割合が高い業種では低くなることが考えられます。つまり、生涯年収に関していえば、「どの民間企業を選ぶか」によって、公務員との差は大きくも小さくもなるというのが実情です。
 

公務員のメリットは雇用の安定性と充実した退職金・福利厚生

公務員の最大の魅力は、やはり雇用と収入の安定性です。景気に左右されにくく、リストラの心配がほとんどないため、長期的な生活設計が立てやすいのが特徴です。
 
年功序列型の給与体系が一般的ですが、近年では成果主義的な要素も取り入れられつつあります。20代のうちは民間より年収がやや低くても、40代以降にはじわじわと追いつく傾向もあります。
 
また、退職金制度や共済年金、福利厚生が手厚い点も大きな魅力です。昇進は試験制度によるものが多く、実力主義ではあるものの、一定の年数を勤めれば安定したキャリアが築けるという安心感は公務員ならではです。
 
ただし、職務内容は法律や規則に基づくものが多く、従来は柔軟性や創造性を生かす機会は限られがちでした。しかし、近年では行政改革や地方創生の取り組みなどにより、新しい発想や挑戦が求められる場面も増えています。
 
それでも、民間企業と比べると変化のスピードは緩やかであり、「挑戦したい」「変化を楽しみたい」と考える人には、少し物足りなさを感じるかもしれません。
 

民間企業は収入の振れ幅が大きい