「アパート」を建てるのが「節税」になるって本当? 親が「相続税対策だ」と言っていますが、借金をしてまでやることなのでしょうか?
土地の相続税対策には、敷地にアパートを建てると良いといわれています。また、「借金をしてでも建てるべき」という声もあります。たしかに土地の上に賃貸物件があると節税効果が見込めますが、本当にお金を借りてでもするべきことなのでしょうか?   本記事では、土地に賃貸物件を建設することが相続税対策につながる理由を解説するとともに、借金をしてアパートを建てる場合のシミュレーションを紹介します。

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アパートを建てると相続税対策になる理由

不動産の相続税評価額は、条件次第でさまざまな減額が認められています。そのひとつが、不動産を第三者に貸していることです。
 
建物や土地など、第三者に貸している不動産は、自分の居住用として所有している物件と比べて自由度が下がります。そのため、第三者に貸している不動産は、権利を貸している割合(借地権割合・借家権割合)に応じて、相続税評価額を減額することが認められています。
 
アパートやマンションなど、第三者に貸すための建物がある土地は「貸家建付地」といい、相続税評価額を減額する対象です。
 
また、小規模宅地等の特例により、貸付事業用の宅地等は200平方メートルを限度として、相続税の課税価格に算入する金額が50%減額されます。そのため、アパートの建設は、土地の相続税対策につながります。
 

貸家建付地の相続税評価額の計算方法

貸家建付地の相続税評価額は、次の式で計算します。
 
自用地としての価額−(自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
 
借地権割合は地域ごとに30〜90%の間で定められており、通常は土地の利用価値に応じて割合が高まります。一方、借家権割合は都道府県ごとに定められており、国税庁のホームページでも確認することが可能です。
 
また、貸家建付地の相続税評価額の計算では「賃貸割合」を考慮する必要があります。
 
賃貸割合とは、賃貸用物件の専有部分の床面積に対して、実際に貸し出されている専有部分の床面積の割合を表すものです。例えば、物件全体の床面積が300平方メートル、実際に貸し出している部屋の床面積の合計が180平方メートルの場合、賃貸割合は180÷300×100=60%となります。
 
なお、賃貸物件を建てる場合は、その物件も相続の対象です。貸家建付地(土地)とは別に、建物の相続税評価額は次の式で計算します。
 
固定資産税評価額−(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)
 

相続税対策の賃貸アパート建設、借金してまでやるべき?