「年金受給」は早める人と遅らせる人のどちらが多い? 調査結果から見える年金受給の動き
年金の受給開始時期は、早めるべきか、それとも遅らせるべきか迷うところです。実際のところ、どちらの選択をする人が多いのでしょうか。本記事では、最新のデータをもとに、早期受給と繰下げ受給、それぞれの傾向を詳しく解説します。

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年金の繰下げ受給・繰上げ受給とは

国民年金(基礎年金)や厚生年金は、通常65歳から受給が始まりますが、60歳から75歳の間で受給開始の時期を選べます。65歳より前に受け取ることを「繰上げ受給」、66歳以降に受け取ることを「繰下げ受給」といい、それぞれ最短で60歳から、最長で75歳まで選択できます。
 

繰上げ・繰下げの仕組みと改正内容

繰上げ受給を選ぶと、65歳を基準に月ごとに年金額が0.4%の減額になります。繰上げ受給 を選ぶと、早く年金を受け取れるものの、65歳基準よりも毎月の受給額が減額されます。60歳から受給すると24%も減少するため、長生きした場合の総受給額が少なくなる可能性があるのです。
 
逆に繰下げ受給を選ぶと月に0.7%増額されます。繰下げ受給を選ぶと、受給開始を遅らせる代わりに、毎月の年金額が増加します。75歳まで繰り下げると受給額は84%増えるため、長生きするほど金額が増えます。
 
なお、2022年3月までは繰上げ時の減額率が月に0.5%、繰下げ可能な年齢は70歳までとされていました。しかし、2022年4月の法改正により、繰上げ時の減額率が月に0.4%に引き下げられ、繰下げ可能な年齢も75歳まで延長されたのです。
 
2022年の法改正により、より柔軟な選択が可能になりました。
 
これにより「できるだけ長く働いて年金を増やす」か、「早めに受給して生活資金を確保する」か、自分のライフプランに合わせた戦略を立てやすくなったといえます。健康状態や寿命の見通し、他の収入源の有無などを考慮し、自分にとって最適な受給開始時期を慎重に選ぶことが重要です。
 

年金を繰上げ・繰下げ受給している人の割合