「生活保護」の受給者が増えていると聞きました。本当に増えているのでしょうか?
最近、「生活保護の受給者が増えている」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。生活保護は、経済的に困窮した人々を支援する制度ですが、受給者数の増加は社会全体の経済状況や生活の厳しさを示しているともいえます。   では、実際に生活保護の受給者は本当に増えているのでしょうか? 本記事では、最新の統計データをもとに受給者数の推移を確認し、その背景や今後の社会への影響について解説します。

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生活保護受給者数は本当に増えているのか? 最新データをチェック!

厚生労働省が公表した「生活保護の被保護者調査(令和6年12月分)」によると、生活保護を受給している人の総数(被保護実人員)は200万7364人となっています。これは前年同月比で1万5816 人(0.8%)減少しています。
 
また、生活保護を受給している被保護世帯数は165万2199 世帯で、前年同月比で1579世帯(0.1%)減少しています。さらに、保護申請件数は1万8551件で、前年同月比で144件(0.8%)とこちらも減少しています。
 
これらのデータから、生活保護を受ける「人の数」は減少傾向にあることが分かります。
 

生活保護受給者数の推移

生活保護受給者数は、経済状況や社会構造の変化によって増減を繰り返してきました。特に、平成27年(2015年)には約204万人と過去最多を記録しましたが、その後は減少傾向にあります。
 
令和3年(2021年)には新型コロナウイルスの影響により一時的に増加したものの、令和5年(2023年)には約202万人、令和6年(2024年)9月には約201万人となり、現在も緩やかな減少が続いています。
 
生活保護の受給率も同様に推移しており、令和6年9月時点では1.62%に低下しています。これは、雇用環境の改善や自立支援施策の強化による影響と考えられますが、一方で生活保護を必要としているにもかかわらず申請できていない「潜在的な受給対象者」の存在も指摘されています。
 
今後、高齢化の進行に伴い、特に単身高齢者の生活保護利用が増加する可能性があるため、長期的な視点での制度改革や支援策の充実が求められます。
 

生活保護受給者数減少の背景