アメリカの相続税は「0%」で日本は「高すぎる」って本当ですか? 資産家はみんな海外移住を検討しているのでしょうか?
日本の税金は高いといわれますが、相続税はどうでしょうか? アメリカでは、超富裕層以外は相続税がかからないことも多いようです。本記事では、日本の相続税は本当に高いのか、アメリカの遺産税と比較して解説しています。あわせて、相続税回避のための海外移住はありなのかを考察します。

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アメリカの相続税はどれくらい? 日本との比較

アメリカの相続税は0円ではなく、実際には贈与税も相続税も発生します。アメリカでも「連邦遺産税」という相続税を払う必要があります。
 
しかし、アメリカの「連邦遺産税」は、一人あたりの基本控除額が1361万ドル(2024年)、日本円にして20億3000万円です。この控除額は毎年インフレ率を控除して見直されており、2023年の1292万ドルからさらに69万ドルほど増えています。
 
また、相続税と贈与税も同一の控除枠内で計算されるのが特徴です。そのため、生前に子どもへ100万ドル渡したとしても、その年の贈与税非課税枠(1万8000ドル/年間)を引いた98万2000ドルが基本控除額(1361万ドル)の枠から引かれるのみです。実際には、贈与税を支払うことはありません。
 
対する日本の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。生命保険や死亡退職金などの非課税枠もありますが、やはりアメリカと比べると、控除額は大幅に少ないです。
 
日本の相続税の最高税率は55%ですので、現金の用意がない場合、物納(現物の不動産など)を選ばざるえないケースもあります。また贈与税も年間110万円までと、日本では子への資産継承はかなり厳しいといえるでしょう。
 

資産家は海外移住を検討?

昨今、芸能人などが海外移住をするケースも目立っています。気候もよく人気のハワイなど、アメリカへの移住もありますが、相続税がなく、税金の安いアジア圏の国々も注目度が高く人気です。
 
例えば、住民税がかからないシンガポールや海外からの配当が免税のマレーシアは、所得税などの税金も比較的安く、相続税もありません。
 
もちろん税金の優遇も魅力的ですが、子どもを海外で育てたい、環境のよいところで暮らしたいなどさまざまな理由があるでしょう。
 
しかし、海外移住は魅力的ですが、問題や障壁はないのでしょうか。実際に、日本では相続税回避を阻止するため、次のような厳しいルールを設けています。