年金生活になり、生命保険の保険料が負担になってきました。息子が「代わりに保険料を支払う」と言っているのですが、どのような方法がありますか?
子どもに保険料を支払ってもらう方法として、子どもに契約者を変更する方法と、子どもが親に保険料を贈与する方法が考えられます。これら2つの方法について解説します。

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契約者変更

契約者は、保険契約上のいろいろな権利(契約内容変更の請求権など)と義務(保険料の払い込みの義務など)を持ちます。契約者は、被保険者および生命保険会社の同意を得て、契約上の一切の権利義務を第三者に変更できます。
 
契約者(保険料負担者)や受取人を変更することによって、適用される税金が変わります。変更した時点では、旧契約者から新契約者へ財産の移転があったものとは考えませんので課税されることはありませんが、その後、保険金や解約返戻金を受け取ったときに保険料負担者と受取人との関係で課税されます。
 
契約者変更後に新契約者が引き続き保険料を支払っていた場合は、保険料負担者が2人いるので2種類の税金がかかる可能性があります。
 
具体例で見てみましょう。
 
契約者(保険料負担者)および被保険者が父、死亡保険金受取人が子の保険契約の契約者を、次のように父が生存中に子に変更した場合の課税関係を考えてみましょう。

契約者:父→子
被保険者:父→父
死亡保険金受取人:子→子

変更後に子が生命保険契約を解約すると、契約者である子は解約返戻金を受け取れます。変更時には課税関係は生じませんが解約返戻金を受け取ったときに課税関係が生じます。
 
すなわち、解約返戻金受取額のうち父が負担した保険料割合相当額は、父から子への贈与として贈与税が課税されます。解約返戻金受取額のうち子が負担した保険料割合相当額は、一時所得に該当し所得税・住民税が課税されます。
 
なお、一時所得の金額の計算上、収入を得るために支出した金額は、契約者変更後に子が負担した保険料の額になります(所得税基本通達34-4)。
 
死亡保険金を受け取ったとき、変更後は死亡保険金受取額のうち子が負担した保険料割合相当額は、一時所得に該当し所得税・住民税が課税されます。父が負担した保険料割合相当額は相続税の課税対象となります。
 

保険料贈与