「争族」にならないように自筆証書遺言を書こうと思いますが、失くしてしまうかもしれないと心配です。どこに保管しておけば安心ですか?
自身が亡くなったときに、遺族に対して自身の財産をどのように扱うかを知らせる方法に遺言があります。なかでも自筆証書遺言は証人等が不要のため、遺言書そのものの存在を秘密にできます。しかし、自身が亡くなった際、遺族が遺言書の存在を知らなければ、遺言書の意味がありません。   そこで、自筆証書遺言保管制度の利用を検討します。本稿では自筆証書遺言保管制度について解説します。

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自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、文字どおり、自身で書く遺言書です。遺言の内容、自分の名前、そして作成した日付も自身で書きます。遺言の様式は決まっていて、様式にのっとったものを作らなくてはなりません。加えて押印も必要です。
 
ただし、財産目録(現預金・土地・建物・株式などの内訳を書いたもの)はパソコンで作成することも認められていますが、印刷し、印刷したもののすべてに署名と押印が必要です。また、預金通帳のコピー等も財産目録として認められていますが、やはりコピーすべてに署名と押印が必要です。
 

作った遺言をどこに保管するか?

遺言の様式は決まっていたとしても、作った遺言書をどこに保管するかまでは、法律で決まっていません。家族の手に届くようなところに置いておけば、中身を改ざんされたり、紛失する可能性も否定できません。そこで、法務局の自筆証書遺言保管制度の利用を検討します。
 

法務局の自筆証書遺言保管制度

全国312ある遺言書保管所で、自筆証書遺言保管制度を行っています。この制度を利用するメリットは、まず何といっても、法務局で自筆証書遺言を保管してくれるので、既述のような改ざんや紛失の恐れがなくなります。
 
また、既述のように遺言には様式がありますが、自筆証書遺言保管制度では様式にのっとった遺言か否かを法務局の職員が確認してくれます。
 
そして、対象は希望者だけですが、自筆証書遺言を作った人が亡くなったときに、あらかじめ指定した人に宛て、自筆証書遺言が法務局に保管されていることを、法務局から連絡してくれます。
 

どこの法務局に行けばよい? 何を用意すればよい?