失業率2.4%に低下も、「働いているのに稼げない」人続出?日本の平均年収は本当に低くなっている?
失業率の低下が報じられる一方で、「生活が楽になった」と実感している人はどれだけいるのでしょうか? 賃金の伸び悩み、非正規雇用の増加、物価高騰、働いてもなかなか豊かになれないのが日本の現状です。   本記事では、現在の日本の労働市場が抱える課題をデータと共に深掘りします。

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上がらない年収と増加する非正規雇用者

経済産業省の資料によると、日本の完全失業率は、リーマンショック後の2009年7月の 5.5%から低下傾向で推移し、2024年2月時点で2.6%まで低下していることが分かります。なお、2023年の完全失業率の年平均は2.6%とのことです。
 
しかし、働いているにもかかわらず十分な収入を得られないという問題が深刻化しています。その背景の一つに、非正規雇用者の増加があげられるでしょう。
 
また、厚生労働省の「『非正規雇用』の現状と課題」によると、雇用者のうち非正規雇用労働者の割合は、2024年に36.8%となり、リーマンショック後である2009年(33.7%)と比べて増加していることが分かります。非正規雇用の増加の背景には、企業の人件費削減や労働市場の柔軟化といった要因が考えられます。
 

平均年収の現状と非正規雇用の影響

この20年間、平均年収はほぼ横ばいが続いている一方で非正規雇用者は増加しており、賃金が低く、ボーナスや手当も限られるため、収入格差が拡大しやすい状況です。
 
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、正規雇用者の平均年収が530万円だったのに対し、非正規雇用者は202万円と、大きな差が見られます。
 

「働いているのに稼げない」現状の課題

非正規雇用者の増加に伴い、働いているにもかかわらず生活が苦しいと感じる人が増えています。特に、非正規雇用者は雇用の不安定さや社会保険の未加入といった問題も抱えており、生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)です。
 
さらに、非正規雇用者の中には、正規雇用を希望しながらも就けない「不本意非正規雇用者」も存在し、その割合は非正規雇用者全体の8.7%(2024年平均)となっていることが厚生労働省の資料で分かっています。
 
また、物価上昇により実質賃金が伸び悩んでいる現状も、生活の厳しさに拍車をかけているといえるでしょう。2024年10月には、基本給が前年同月比2.7%増と32年ぶりの高い伸びを示したといわれていますが、同時に物価も上昇しており、実質賃金の改善にはいたっていません。
 

まとめ