老後の生活には本当に「2000万円」が必要なのでしょうか?「年金だけ」で生活する方法はありませんか?
一時話題となった「老後2000万円問題」ですが、この数字だけが独り歩きして「本当に2000万円が必要なのか?」と聞かれることがあります。しかし実際、人によって不足額は異なりますし、貯蓄状況や働く環境によっても異なります。   厚生労働省の「2023(令和5)国民生活基礎調査の概況」によると、年金収入だけで生活できない高齢者世帯は、全体の約6割となっています。また調査結果から、多くの世帯が生活費を年金以外の収入で補わなければならない、という現状が見受けられます。   このことから、「公的年金の受給額は十分でなく、貯蓄や他の収入源を頼る必要がある状況に直面している」と考えてよいでしょう。   そこで本記事では、老後を年金だけで生活するための必要額を平均から算出し、働き方の違いによる年金の受給額を踏まえたうえで、年金だけで生活できない可能性がある場合の対処法を解説します。

▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?

老後に年金だけで生活するための必要額

老後に年金だけで生活する場合、生活するために資金がいくら必要なのか、把握する必要があります。毎月の生活費の平均をもとに、老後に必要な資金がいくらなのかを確認していきましょう。
 
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概況」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)」の家計収支は次のとおりです。
 

・実収入:24万4580円
・支出合計:28万2497円(消費支出:25万959円+非消費支出:3万1538円)

 
上記データによると、夫婦高齢者無職世帯の平均的な収入と支出では、毎月3万7916円の赤字となります。
 
また、「65歳以上の単身無職世帯(高齢単身者世帯)」の家計収支は、次のとおりです。