「世帯年収1000万円」でも、共働きの場合と片方が働いている場合で「手取り」が変わるって本当?
近年の共働き世帯の増加にともない、世帯収入の構成パターンも多様化しています。実は同じ世帯年収1000万円でも、共働きなのか、夫婦どちらかの単独所得なのかによって、実際の手取り額に大きな違いが生じます。   今回は、世帯年収1000万円の場合に、共働き世帯と単独所得世帯それぞれの実質的な手取り額の違いから、賢い収入の組み合わせ方まで解説していきます。

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所得税の基本的な仕組み

所得税は、給与収入から給与所得控除や各種所得控除を差し引いた課税所得に対して課税されます。重要なポイントは、課税所得が高くなるほど適用される税率が段階的に上がっていく「超過累進課税制度」が採用されていることです。
 
例えば、課税所得が195万円以下の場合は5%の税率が適用されますが、330万円を超えると20%に、695万円を超えると23%になります。つまり、同じ世帯年収でも、その収入構成によって税負担は大きく変わってきます。
 
この超過累進課税制度は、高所得者により多くの税負担を求める仕組みとして機能しています。そのため、世帯年収が同じでも、1人に収入が集中するか分散するかで、実際の税負担額に大きな差が生じることになります。共働き世帯と単独所得世帯で手取り額に違いが出る主な理由は、この税率の違いにあります。
 

収入パターン別の実質手取り額の比較

それでは、具体的な数字を見ながら、収入パターン別の実質的な手取り額の違いを見ていきましょう。同じ世帯年収1000万円でも、その内訳によって実質的な手取り額には大きな違いが生じます。
 

単独所得世帯の場合

世帯年収1000万円を1人で稼ぐ場合、高額所得層向けの税率が適用されるため、税負担が重くなります。
 
課税所得が高くなるほど適用される税率も引き上げられ、手取り額は大きく目減りすることになります。特に給与収入が1000万円を超えると、所得税率は33%に跳ね上がり、実質的な手取り額に大きな影響を与えます。
 

共働き世帯の場合