
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
介護の問題は自分だけではない!
介護保険法が2000年に法施行され、すでに20年以上が経過しています。要介護状態になったときには、介護保険の保険給付を受けるという流れは当たり前です。
ただ、保険給付があるといっても、要介護者は増加し、介護保険料は年々上昇しています。厚生労働省の資料(※1)によると、65歳以上の被保険者は2022年3月までに1.7倍、要介護(支援)認定者は3.2倍だそうです。
また、生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、必要と考える月々の費用は15.8万円という結果が出ています。
これはあくまでも平均です。もちろん、大都市か地方かの居住地、要介護度の程度によって、また介護を「在宅」か「施設」のいずれでするかによっても金額は異なります。
超高齢化社会では、親族の介護は自分だけの問題ではありません。費用もかかることから、どんな介護をしていくべきか情報を収集するところから始めてみましょう。
働きながら介護ができる制度が続々と!
2025年、中小企業にも、社員が介護休業を取得しやすい環境を整える努力義務が課されます。同時に、介護離職が発生しないよう、新たに職場への補助金が支給されます。
例えば、介護休業を15日以上取った社員1人につき、業務を代替した同僚への手当向けに10万円、新規雇用に30万円が補助されます。その他、短時間勤務中の同僚への手当に3万円、介護休業から復帰した際には40万円(15日以上の取得で60万円)などの手当が支給されます。
今回の相談者Aさんは、定年を目前として、介護のために退職を想定しているかもしれませんが、介護費用が心配であれば定年後の再雇用や勤務延長などもぜひ検討してみましょう。
これらの補助金は社員対象ではなく企業向けではありますが、企業にメリットがあることで、職場にいづらくなるという不安は少なくなるのではないでしょうか。
新たな制度ですから事業主が知らないケースも考えられますが、介護休業を申し出しにくいとき、「こんな制度があるので、これをきっかけに、企業として育児や介護との両立支援を目指しませんか?」という提案を会社にしてみることもできるかもしれません。