「高額療養費制度」が見直されると聞きました。現在65歳で、自己負担額が上がることに不安を感じているのですが、具体的にどれくらい引き上げられるのでしょうか?
「高額療養費制度が見直されるらしいけど、私の負担額はどれくらい増えるの?」そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。医療費負担の増加は家計に大きな影響を与える可能性があります。   この記事では、 65歳の方が具体的にどれくらいの影響を受けるのか、分かりやすく解説します。

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高額療養費制度とは?見直しの背景と目的

高額療養費制度は、医療費の自己負担が家計に過度な負担とならないよう、1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合に、その超過分が支給される仕組みです。この制度により、多くの方が安心して医療サービスを受けることができています。
 
しかし、近年の高齢化や高額な薬剤の普及に伴い、高額療養費の総額が年々増加しており、その結果、現役世代を中心とした保険料の負担も増加しており、制度の持続可能性が課題となっています。
 
このため、セーフティネットとしての役割を維持しつつ、全世代の被保険者の保険料負担を軽減する観点から、制度の見直しが行われることとなりました。
 

65歳では自己負担額はどれくらい増えるのか?

今回の見直しでは、所得区分ごとに自己負担限度額が引き上げられます。ひと月の自己負担額を決める所得区分は細かく設定されており、ここでは65歳の「年収約370万~510万円」と「年収約510万~650万円」のケースを表1~表4にてご紹介します。
 

(1)年収約370~510万円のケース

 
表1

期間 自己負担額の計算式
現行 8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
令和7年8月~ 8万8200円+(医療費-29万4000円)×1%

出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」を基に筆者作成
 
表2 医療費が100万円かかった場合の自己負担額:

期間 自己負担額の上限
現行 8万7430円
令和7年8月~ 9万5260円