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収入の絶対額だけでは決まらない
奨学金の審査は、単なる収入額だけでなく制度上の細かな基準に基づいて行われます。家計の厳しさだけで支給の可否が決まるわけではなく、「思っていたより支援を受けにくい」と感じる人も少なくありません。
制度上の基準と実際の生活費にギャップがある
例えば独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の第一種奨学金(無利子貸与)では、4人家族(両親と子ども2人)の場合、世帯収入が880万円以下であることが申請条件です。
しかし、東京地方労働組合評議会が2020年に発表した「東京都最低生計費試算調査結果」によると、東京で大学生と高校生を育てる4人家族に最低限必要な生活費は、年間約964万円と試算されています。
つまり、実際の生活はギリギリにもかかわらず、世帯年収が基準を超えているために奨学金の対象外と判断される家庭もあるということです。
また、貯蓄や投資資産の合計が2000万円を超えている場合も、支援不要と判断されて奨学金の対象外となります。都市部では生活費の負担が大きく、将来への備えとして貯蓄を確保している家庭も多いですが、一定額を超えると支援を受けられない可能性があります。
家計が急変しても審査基準に反映されにくい
奨学金の審査は申請前年の収入を基準に行われるため、親の急な失業や病気などで家計が急変しても、審査には反映されません。例えば、2025年に申請する場合、審査対象となるのは2024年の収入であり、直近1年以内の大幅な収入減や予期せぬ支出増が考慮されない可能性があります。
家計の急変で奨学金申請を検討する際は、収入や資産に関する条件を事前に確認し、家計急変の特例措置が利用できるか調べておくと安心です。特例措置を申請する場合は、失業や収入減を証明する書類が必要になります。