4.世帯合算
一定の条件下では、同じ月内に同じ世帯で複数の人が医療費を支払った場合、それらを合算して高額療養費の対象にすることが可能です。この制度は、医療費の急激な増加による経済的な負担を抑えるために、非常に重要なものとなっています。
民間の医療保険は、高額療養費制度と重複する
上記の説明のとおり、年収156万円~370万円の人は、1ヶ月の医療費が約5.8万円を超えると、超過した分について公的医療保険からの払い戻しを受けられます。
つまり、どんな大病をしても、公的保険の範囲内の治療をするのであれば、1ヶ月最大5.8万円を支払えばよいことになります。例えば、何らかの手術や病気で入院して10万円かかった場合、国民健康保険からは4.2万円の払い戻しを受けられるので、自己負担金は5.8万円で済むことになります。
高額療養費は、個人が無制限に医療費を負担することのないように、作られた制度なのです。
日本では民間医療保険のセールスマンが「病気になったら多額のお金が必要だから、医療保険やがん保険に入りましょう」と勧誘します。高額療養費のことはほとんど説明してくれないので、気が付いていない人も多いのです。
しかし、例えば年収370万円~770万円の人であれば、1ヶ月の医療費が約8万円を超えると、超過した分は公的医療保険が払ってくれます。
職業・年齢にかかわらず、日本国民は公的医療保険に入っているので、民間の医療保険に入ると、年収370万円~770万円の人なら月8万円を超える部分の保障が重複することになります。
まとめ
高額療養費制度を利用すれば、医療費の自己負担には上限があるため、多くの場合、月に数万円の負担で済みます。
それにもかかわらず、民間医療保険に重複して加入しているケースも多いです。自分の年収やライフスタイルを踏まえ、本当に必要な保険を見極めることが重要です。無駄な保険料を払わず、賢く制度を活用しましょう。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー