見直し案の引き上げによって、具体的にどれくらいの影響があるでしょうか? ここでは69歳以下の現役世代で年収400万円の人の場合を考えてみましょう。
 
入院などによって1ヶ月の医療費が100万円、自己負担分は3割で30万円かかったとします。このとき、自己負担限度額は現行の制度と改正案で次のようになります。


・現行の制度:8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円
・改正案:8万8200円+(100万円-29万4000円)×1%=9万5260円

差額は7830円です。つまり改正案が予定通り施行されれば、2025年8月以降は1ヶ月あたり7830円、医療費の自己負担額が増えることになります。
 

1ヶ月の自己負担額が3万円なら特に影響なし

高額療養費制度改正によって負担が増えるのは確かですが、年収400万円で1ヶ月の自己負担額が3万円の場合は特に影響ありません。なぜなら、限度額よりも少ない金額だからです。
 
年収400万円の人で高額療養費制度が問題になるのは、1ヶ月の自己負担額が現行の制度で8万100円、改正案で8万8200円に達してからです。3万円であれば限度額以下ですので影響はないでしょう。
 

今後治療費が増えると影響が出る可能性も

高額療養費制度の見直し案では、自己負担限度額を段階的に引き上げることが検討されています。手術や入院などで高額な医療費を払っている人にとって、大きな負担増となるでしょう。
 
年収400万円の人が1ヶ月に3万円の治療費を払っても、限度額以内であるため影響はありません。しかし、今後新たに病気が見つかるなどで治療費が増えると、影響が出てくる可能性があります。
 
高額療養費制度の見直し案については、現在国会で議論されています。今後の行方を注視しましょう。
 

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