自宅の棟上げで関係者へ「缶コーヒー」を渡したら、母に「お弁当を用意しなかったの⁉」と驚かれました。飲み物だけではNGでしょうか?
現代では、昔から行われてきたさまざまな風習や習慣が時代とともに変化しています。自宅の棟上げ後に、餅まきをしたり、家を建ててくれた大工さんなどの職人さんたちへ食事を用意したりといった習慣も、最近では簡略化されつつあるといえるでしょう。   そこで、この記事では棟上げという伝統的な行事におけるお礼の慣習と、現代における考え方の変化を踏まえて考察しました。

棟上げとは?

棟上げ(むねあげ)とは、新築の家屋において、建物の骨組みが完成し、最後に最上部の部材である棟木を取り付ける工程や儀式のことを指します。
 
上棟式とも呼ばれるこの儀式は、古くから家を建てる際の重要な節目として捉えられてきました。棟上げは、工事の安全を祈願するとともに、家を建ててくれた職人さんたちへの感謝の気持ちを表す機会でもあります。
 
かつては、棟上げは地域全体を巻き込む盛大なイベントとして、職人さんだけではなく親戚や近所の方々も集まり、餅をまいたり宴を催したりしていました。しかし、現代では簡略化される傾向にあり、棟上げ自体を省略するなど、お祝いの方法も多様化しています。
 

棟上げのお礼、昔と今の違い

棟上げでは一般的にお弁当やお酒、ご祝儀などが職人さんたちへのお礼として用意され、お弁当は労をねぎらう意味合いが強いものとされていました。
 
しかし、現代では働き方や生活様式の変化に伴い、お弁当を用意する時間や手間を確保することが難しい場合もあります。また、衛生面やアレルギーの問題も考慮する必要があるでしょう。
 
これらのことが関係し、現在では簡略化してお弁当ではなく缶コーヒーやお菓子、現金などを渡すケースも増えているようです。
 
棟上げが省略される理由として、以下のようなことが考えられます。

●近所付き合いが減っている、周辺で行っている所が減ってきている
●金銭的な負担が少なくない
●スケジュールの調整や、事前の準備が必要
●家の工法が変化し、棟上げ自体が行われない