営業1年目で「契約0件」でも上司に叱られない謎。理由は企業の「採用コスト」にある? 昨今の風潮も含め解説
営業職は契約を取ることが主な仕事です。昭和の「企業戦士」時代のイメージでは、営業と言えば数字を追いかけ、達成しなければ叱責されるもの。しかし、最近は契約が0件だとしても、昔ほど叱られることが少なくなっているかもしれません。中には「もっと厳しく指導してほしいのに……」と感じる人もいるでしょう。   上司が厳しく指導してくれないと、焦る気持ちが生じたり、会社が自分にかけたコストに見合った働きができていないと悩んだりするかもしれません。   本記事では、上司が部下を叱れない理由や、会社が新人の採用や育成にかけている人材コスト、叱られなくても成長する方法について解説します。

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叱れない上司が増えた背景とは?

上司の中には「今の若手は打たれ弱い」と感じる人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとも言い切れません。むしろ「成長したい」という意欲を持っている若手も多くいるでしょう。
 
では、なぜ上司は叱ることを躊躇(ちゅうちょ)するのでしょうか?
 
理由としては、まずはハラスメント問題への配慮が挙げられます。近年、企業では「パワハラ防止」が強く叫ばれ、指導の仕方にも気を使う時代になりました。上司が厳しく叱責したことによって部下が精神的に追い詰められ、心身に不調をきたすと、会社側が責任を問われる可能性もあります。
 
また、中には「叱られたい」と思う若手もいますが、反対に叱られることに慣れていない人もいるはずです。厳しく叱った結果、若手が退職してしまうと、採用コストや教育コストが無駄になってしまいます。昨今は全国的に人手不足ですので、人を再度確保するのも簡単ではありません。
 

会社がかけている人材コストはいくらくらい?

営業1年目の社員には、会社が大きな投資をしています。就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、採用にかかるコストは学生1人あたりで93万6000円です。ほかにも、研修費や給与、福利厚生などを考えると、会社は新入社員に対して年間数百万円単位のコストをかけていると言えるでしょう。
 
このように、企業側は人材採用に多額の投資をしています。だからこそ、辞められるリスクを減らすために、過度な叱責を避けている面もあると考えられます。
 

叱られなくても成長する方法