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保湿剤は幅広い用途で処方されている
皮膚科を受診すると、処方薬の中によく「保湿剤」が入っています。筆者の場合、夏の肌の痒(かゆ)みや冬の乾燥、湿疹ややけど跡など、「皮膚疾患といえば保湿剤」というかのように高頻度で処方を受けてきました。
重篤な症状でなくても、幅広い用途で処方されているのが医療用の保湿剤です。乳幼児でも使える安全性で、皮膚疾患だけでなく、外傷後の腫れ、腱鞘(けんしょう)炎、筋肉痛、関節炎などにも用いられます。
保険適用なので、子どもの医療費が無料になる自治体では、当然ながらこの保湿剤も無料で手に入ります。
ヒルドイド事件と、その後
10年ほど前に、ヘパリン類似物質を含む「ヒルドイド」という保湿剤が流行したことがあります。ヒルドイドは70年という長い期間使われてきた医薬品ですが、急に一部の雑誌やインターネットで「保湿効果が高い」と紹介され、美容目的の利用が爆発的に増えたのです。化粧品のように扱われて本来の患者に行き渡らず、大きな問題になりました。
全国健康保険協会からは税金や保険料で賄う医療財政を圧迫するとして注意喚起され、厚生労働省は2018年の診療報酬改定で処方量を制限する方針を固めました。2024年10月にはヒルドイドの自己負担額増額が決まり、薬剤師が後発品をすすめる動きが強まるなど問題の波及は続いています。
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後発品の保湿剤 2025年1月筆者撮影
現在、子どもの医療費が無料である自治体で皮膚科にかかると、ヒルドイドの後発品である保湿剤が多数用意され、薬剤師のおすすめを聞きながら種類を選択することができます。筆者は乳液状の「ラクール」、ローション状の「日医工」を利用したことがあります。基剤が異なるだけで、含まれるヘパリン類似物質の割合は先発品と変わりません。