
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
高額療養費制度とは何か?
高額療養費制度とは、医療費における1ヶ月当たりの自己負担額に上限を設け、その上限を超えた部分については後で払い戻しを受けることができるという制度です。自己負担額の上限のことを「自己負担限度額」といいます。自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。
例えば、69歳以下(70歳未満)の方の自己負担限度額は、図表1のように計算します。
図表1
出典:厚生労働省 「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
仮に、69歳以下・年収約370万円から約770万円の方で、1ヶ月間の保険診療に係る総医療費が100万円(自己負担3割)であった場合、高額療養費制度を利用したときの自己負担限度額は以下のとおりです。
8万100円 +(100万円 - 26万7000円)× 1% = 8万7430円
窓口での自己負担は30万円(=100万円×3割)ですので、21万2570円(=30万円-8万7430円)の払い戻しを受けることができます。自己負担限度額は8万7430円であり、それ以上自己負担が増えないことから、「高額療養費制度があるから安心」といえます。
医療保険をどう考えたらよいか?
「高額療養費制度があるから安心」というのは、「高額療養費制度(=公的医療保険)があるから安心」と考えることができます。一方、「それだけでは足りないから医療保険が必要」というのは、「それ(公的医療保険)だけでは足りないから(民間の)医療保険が必要」と考えることができます。
このことについて「結局どちらが正しいのか?」と考えるのは、医療保険について誤解をされているように思われます。医療保険についての正しい解釈は、「公的医療保険でカバーできない部分を民間の医療保険でカバーする」です。
また、医療保険に限らず、保険について考えるときは貯蓄(預貯金)とのバランスについても考えなければなりません。保険とは本来、「費用を貯蓄で賄えない」「発生可能性が低い」「いつ発生するか分からない」ことに対して掛けるものです。したがって、「貯蓄で賄えることに対しては保険を掛けない」というのが保険の基本的な考え方となります。
つまり、「高額療養費制度があるから安心」ということと「それだけでは足りないから医療保険が必要」ということは、以下のように考えていく必要があります。