
▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説
東京23区内の新築マンションの相場はいくらなのか?
株式会社不動産経済研究所が10月に発表した「首都圏 新築分譲マンション市場動向」によれば、2024年4月から9月までの東京23区内の新築マンション平均価格は1億1051万円です。
前年同期比で見ると4.5%上昇しており、5月~9月は平均価格が1億円を超えています。つまり、23区内の新築マンション価格の1億円超えは一時的なものではなく、常態化しているといえるでしょう。
一方で、供給戸数に関しては前年同期比42.9%も減少しており、資材価格や人件費など建設コストの上昇や用地取得費の高騰なども相まって、今後しばらくは価格が高止まりすると予測されています。そのため、23区内で新築マンションを購入しようと思えば、当面1億円を超える予算の想定が必要です。
年収800万円で東京23区内新築マンションの購入は可能か?
多くの人にとって、23区内の新築マンションを購入するには住宅ローンの設定が必要です。しかし、住宅ローンにも収入などの審査があり、無尽蔵に借り入れできるわけではありません。また、住宅ローンを組む際はそれ以外の生活費なども考慮して、借入額を決めることも重要です。
条件によっても異なりますが、住宅ローンでの借入額は年収の5倍から7倍、年収に占める返済負担の割合は25%程度が適切といわれることがあります。
実際、住宅ローン「フラット35」の23年度利用者調査では、図表1のとおり、所要資金は建物の種別によって年収の5.3倍から7.6倍の範囲になっており、新築マンション購入者平均は7.2倍です。
図表1
住宅金融支援機構 2023年度フラット35利用者調査
※年収倍率は、所要資金を世帯年収で除した数値
この例をもとに、年収800万円の人の住宅ローン所要額を単純計算すると、800万円×7.2倍=5760万円にしかなりません。また、同調査によると、収入に占める返済額の割合は平均23.4%でした。
仮に年収800万円のうち23.4%を返済に充て、それを35年間続けたとしても、返済総額は800万円×23.4%×35年=6552万円です。そのため、仮に貯蓄1000万円を全て頭金にしても、1億円に達する道のりは遠いといえます。
資金調達手段は住宅ローン以外にもあり、これらの資産は必ずしも借入額の上限というわけではありません。そのため、年収800万円の人が23区内に新築マンションを購入するのは無理とまではいえませんが、資金的なハードルは高いといって差し支えないでしょう。