
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
「老後2000万円問題」とは
最初に「老後2000万円問題」についてかんたんに振り返っておきましょう。この話題の発端となったのは金融庁金融審議会が2019年に出した報告書です。
同報告書では、以下の条件において「収入と支出の差が毎月約5万円の赤字になった場合、20年間で約1300万円、30年間で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要」としています。
・世帯構成:夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯
・実収入:20万9198円
・実支出:26万3718円
・収支バランス:5万4520円の赤字
このシミュレーションは、単身世帯や定年後も働き続ける世帯には当てはまりません。そのため「老後2000万円問題」は、あくまでモデルケースのひとつに過ぎないという点は理解しておくとよいでしょう。
50代の貯蓄状況
金融広報中央委員会は「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」で、年代別の金融資産保有額を公表しています。50代で2000万円以上の資産を保有している世帯の割合がどれほどか見ていきましょう。二人以上世帯と単身世帯の2パターンに分けてご紹介します。
二人以上世帯
世帯主が50歳代の二人以上世帯1024世帯のうち、2000万円以上3000万円未満の金融資産を保有している世帯は5.4%です。また3000万円以上の金融資産保有世帯は11.2%でした。合計だと16.6%の世帯が2000万円以上の資産を有しています。
同調査は、日本全国にいる世帯主が50歳代の世帯すべてを対象にしているわけではありません。そのため、日本全体でどれくらいの50代が2000万円以上の資産を保有しているかは正確には分かりません。
ただしおおよその目安として、二人以上世帯の場合は100世帯につき16世帯以上が2000万円以上の資産を有している可能性はあります。なお金融資産保有額の平均値は1147万円、中央値は300万円でした。