「地域」によってもらえる「年金額」に差はありますか? 平均年収や最低賃金が高い地域に住んでいる場合、その影響で将来の年金額も高くなるのか気になります
物価が上昇局面にあり、生活費がかさみ家計をひっ迫している家庭は少なくありません。特に年齢を重ねて収入が年金のみになっている高齢者の場合、生活に与える影響は大きくなってしまいます。   そこで気になるのが年金のこと。物価や賃金水準や平均年収は地域によって違いがあるのですが、年金額にも何らかの影響があるのでしょうか?

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公的年金に地域差なし

住んでいる地域が平均年収や最低賃金が高い場合には、それに伴い生活にかかるコストも高くなることも少なくありません。そのような地域で生活しているとき、現役世代で収入を得続けているなら生活に困ることはないかもしれません。
 
しかし、セカンドライフに入り収入が年金に限られてしまったら、地域に見合うような年金額を手に入れたいと思うことは一理あるかもしれません。しかし公的年金の場合、地域によって支給される金額に違いはありません。
 
つまり、基本的な生活コストの高さ低さには関係なく年金額が決まっています。ただし、同じ勤続年数であっても、年収によって支払う年金保険料が違ってきますので、支払った年金保険料が多ければ、その分、支給される年金額は増えます。
 
平均年収や最低賃金が高い地域に住んでいる場合、他の同世代の人や同じ勤続年数の人に比べて、多くの年金額を受け取れる可能性は高くなることが考えられます。
 

年金は物価スライド制。物価上昇に対応している

公的年金の場合、物価の変動に応じて支給額を見直す(改定)することになっています。これを物価スライド制と言います。そのため、物価が上昇したときには、支給される年金額も増えます。
 
2004年の年金制度改正では、現役世代の過重な負担を回避するため、社会情勢にあわせることになりました。これは、年金の給付額を物価や賃金の上昇率に合わせて調整するもので現役世代の保険料の負担を抑えるものです。
 
この制度のことを、マクロ経済スライドといいます。ただし、賃金の伸びがマイナスの際やデフレ下ではこの制度は適用しないことになっていますので、無条件に年金額が上昇することはありません。
 

年金額を増やすことを考えてみよう