病院が近くにない山間部で活躍する「メディカルムーバー」って一体何? 車内設備や導入費用を解説
高齢化や医師不足といった社会課題を抱える日本において、医療へのアクセスは重要なテーマです。山間部や離島では病院までの移動が困難な高齢者も多く、医療サービスの提供に課題を抱えているケースが珍しくありません。本記事では、地域医療の課題解決に貢献する革新的な車両「メディカルムーバー」について解説します。

メディカルムーバーとは?

「メディカルムーバー」は、トヨタ車体が開発した医療MaaS車両です。MaaSは「Mobility as a Service」の略で、あらゆる移動ニーズを1つのサービスとして捉え、シームレスな移動を実現する概念です。メディカルムーバーは、このMaaSの考え方を医療分野に応用し、病院から遠い地域に医療サービスを届けることを目的としています。
 

メディカルムーバーの車内設備

メディカルムーバーは、トヨタの「ハイエース」をベースに改造されており、車内はまるで「動く診察室」のようです。患者が快適に過ごせるよう、さまざまな設備が備わっています。
 
診察に欠かせないベッドやキャビネットデスクはもちろん、オンライン診療に対応するための大型モニターや遠隔診療システムも搭載されています。これにより、遠隔地の医師と患者をつなぎ、リアルタイムで診察が可能です。
 
また、患者の状態を的確に把握するための医療機器や、必要に応じて酸素供給装置も備えられています。
 
さらに、患者がリラックスして診察を受けられるよう、車内の照明にも工夫が施されているのが特徴です。ダウンライトとバーライトを組み合わせることで、オンライン診察時でも患者の状態をしっかりと確認できます。
 

メディカルムーバーの導入費用

メディカルムーバーの導入費用について、現状ではトヨタ車体から公式な価格が公表されていませんが、車両の仕様や搭載機器によって1000万円から3000万円程度の幅があると考えられます。
 
メディカルムーバーの導入費用は、いくつかの要因によって大きく変動します。要因としてまず挙げられるのが、ベース車両として使用されるハイエースのグレードです。
 
ハイエースにはさまざまなグレードがあり、価格も約240〜380万円と異なるため、どのグレードをベース車両として選択するかによって、メディカルムーバー全体の価格にも影響が出るでしょう。
 
次に挙げられるのが、車両に搭載される医療機器の種類やグレードです。診察用のベッドや机、モニター、そして遠隔診療システムなど、医療機器の種類やグレードによって価格が大きく変動するため、必要な医療機器を慎重に選択することが求められます。
 
また、オンライン診療システムの導入費用も重要な要素です。オンライン診療システム自体は、システムの機能や提供会社によって価格が大きく異なるため、どのシステムを導入するかによって全体の費用も変動するでしょう。
 
さらに、車両の利用目的に合わせて内装や設備をカスタマイズする場合、その費用も加算されます。カスタマイズの程度によって費用は大きく変わるため、必要に応じてカスタマイズ費用も考慮しなければなりません。
 
ただし、自治体によっては補助金制度が利用できる場合があり、導入費用を抑えることもできるでしょう。補助金の額や要件は自治体によって異なるため、事前に確認することが重要です。最終的な費用や補助金制度の詳細は、トヨタ車体に直接問い合わせることをおすすめします。
 

メディカルムーバーの活用事例