「医師の働き方改革」って一体何? 高収入でも「長時間労働」を強いられているという話は本当なの?
医師の過剰な働き方が問題となっています。医師の時間外労働時間は「平均34.1時間」に上り、心身の健康を損ねる医師が増えたことで、人手不足として医療現場全体に影響が出ているのです。   本記事では、高収入とはいえ働きすぎが指摘される医療業界において、医師の働き方改革の取り組み、長時間労働の改善について解説します。

▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?

医師の働き方改革とは

2024年4月から始まった医師の働き方改革は、時間外労働の上限規制(年960時間、特例で年1860時間)を改革の軸として、長時間労働の改善を目指し、医療の質の向上と安全を確保することを目的としています。
 
また、改革の推進を支援する第三者評価機関として「医療勤務環境改善支援センター」を設置し、表1のように医療機関は3つの水準(A・B・C)に指定されました。
 
表1

水準 時間外労働(年間) 対象
A 960時間未満 一般の労働者と同程度
B 1860時間未満 医師を派遣する病院と救急医療等
C 1860時間未満 臨床・専門研修と高度技能の修得研修

厚生労働省「医師の働き方改革」より筆者作成
 

医師の労働時間の解消策

労働基準法による法定労働時間は、原則として1日8時間、1週間に40時間までです。しかし、医師の場合、緊急対応や手術、外来対応などで時間外労働が超過するケースも少なくありません。
 
厚生労働省の調査「長時間労働の指摘がある業種・職種の実態について(例)」によると、1ヶ月の時間外労働時間は「20時間~50時間以下」が31.5%と最も多く「50時間~80時間以下」が14.2%であることが分かっています。
 
医師の働き方改革は、時間外労働の見直しを基本とし、医療機関内のマネジメント改革、ICT技術の活用、地域医療提供体制における機能分化・連携、医師偏在対策の推進、医者のかかり方についての周知など、「医療機関、行政、患者」の3つの側面からの改善が必要とされているのです。
 

医師の健康を確保する