「高額療養費制度」の負担上限額引き上げはいつから?長期患者でも自己負担限度額を引き上げられる?
「高額な医療費を支払うのは厳しい……」そんなときに頼りになるのが「高額療養費制度」でしょう。特に、長期間にわたる治療が必要な人や、高額な薬を使う人にとって、医療費は家計に大きな影響を与えます。しかし、この自己負担限度額が引き上げられることになりました。   この記事では、今回の改定がもたらす影響について、具体的に解説していきます。

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高額療養費制度の負担上限額引き上げはいつから?

政府は2025年8月から、高額療養費制度の自己負担限度額を段階的に引き上げる方針を示しています。厚生労働省によると、具体的には、所得区分ごとに2.7%から15%の範囲で引き上げが行われる予定です。例えば、年収約370万円から770万円の層では、自己負担限度額が10%引き上げられます。
 
この見直しは、医療費の増加や高額薬剤の普及に伴い、制度の持続可能性を確保するための措置とされています。
 

長期患者の自己負担限度額はどうなる?

長期にわたり高額な医療費がかかる患者に対しては、「多数回該当」という特例が設けられています。これは、直近12ヶ月以内に3回以上、自己負担限度額に達した場合、4回目以降の負担額が軽減される仕組みです。
 
政府は当初、この多数回該当の上限額も引き上げる方針を示していましたが、患者団体からの意見を踏まえて、現行の負担額を据え置く方向で調整しています。
 

負担増がもたらす社会全体への影響と課題

高額療養費制度の自己負担上限額引き上げは、患者個人だけでなく、社会全体にもさまざまな影響を及ぼすと考えられます。特に医療を受け控える人が増える可能性が指摘されています。
 

(1)受診抑制による健康リスクの増加

自己負担が増えることで、「少しの体調不良なら病院に行かない」という人が増えるかもしれません。しかし、適切な時期に治療を受けないと病状が悪化し、結果的に治療費がより高額になるリスクもあります。これは長期的にみれば、医療費全体の増加につながるかもしれません。
 

(2)医療機関への影響