お隣の庭のみかんが「わが家の敷地」にしょっちゅう落ちています…返した方がよいのでしょうか?
住宅街で一軒家に住んでいると、隣家の木に成った果物が庭に落ちてくることもあるかもしれません。1、2個ならまだしも、大量となれば返すことも大変でしょう。   「わが家に落ちたものだから、食べてもいいだろう」と思うかもしれませんが、隣人の同意を得ずに対処すると、罪に問われる可能性もあるようです。   今回は、隣家の木から落ちた果実の所有権と対処法について解説します。

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落ちた果実の所有権は、木の所有者に帰属すると考えられる

木から落ちた果実の所有権は、木の所有者に帰属するようです。表題のケースでは、落ちたみかんの所有者は隣人になると推測されます。
 
根拠となる法律が、民法第89条第1項です。民法第89条第1項は、木から落ちた果実の所有権は、果実を収取する権利を持つ人にあると定めています。条文は次の通りです。
 

民法第89条(果実の帰属)第1項

●天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
 
そして、同法第206条に基づけば、果実を収取する権利を持つ人は、木の所有者と解釈できるでしょう。
 

民法第206条(所有権の内容)

●所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
 
したがって、隣家の木から落ちた果物は、その家に返さなければならないようです。勝手に食べたり処分したりすると、窃盗や占有離脱物横領とみなされるかもしれません。
 

窃盗や占有離脱物横領とみなされると、懲役や罰金を科される可能性がある

窃盗や占有離脱物横領とみなされると、懲役刑や罰金刑を科される可能性があります。具体的には、窃盗では10年以下の懲役または50万円以下の罰金、占有離脱物横領で1年以下の懲役または10万円以下の罰金、もしくは科料となります。
 

刑法第235条(窃盗)